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第6話:〔失ったもの〕

 メルタ星系にある太陽系と繋がるターミナルポイント。そこから現れた3体の巨大なシープ。戦闘の末に艦内に侵入した小型種がサソリのような融合体ラミアに変体した。偶然その場に居合わせたハヤトはどうにかそれを撃退した。

 〔敵の影〕


「サボタージュ……。ですか?」


 シェオルは瞳を大きくひらいて困惑した表情をみせた。というのも艦橋に来てみれば、副長に呼び出されてこんな話を聞かされたからだった。


「3日前のメルタ降下作戦で起きた事故。生き残った隊員から集まった言葉を見るに事故とは言い切れない証言が多々あるのですよ」


 黒巻副長はミーティングルームの大きなモニターの前をうろつきながら黒縁メガネをプロジェクターの光に反射させた。


「仲間に脅されてやった。撃つように命令された。実弾が入っていた。嘘ならもっとまともなツキようがあるはずなのに皆、真剣な顔で言うもんですからな」

「まさか、本当に……。艦内に敵がいるんでしょうか……?」


 副長を追ってミーティングルームに入ったシェオルの柔らかな茶髪が揺らぐ。ヴァンドラの艦内でも有数の美貌をもつ彼女だが、ここ数日はとくに眠れておらず眠たげな目つきに若干の不健康さが顔にでていた。そんな彼女に副長はうなずいた。


「作戦参謀でもある僕に言わせてみれば、これはヴァンドラの戦力を削ぐため、あるいはパーティクルスフィアを狙っての伏兵でしょうな」

「もしそうなら、私みたいにスフィアのことを知ってる未来人や博士の側近だった人物が相手にいるかもしれないですね……」

「まことに厄介ですが、そーゆー事になりますな」


 副長はため息をつく。同時にプロジェクターの光がうなだれた影を作った。


「このことは艦長やほかの上官には知らせてあるんですか? 事件ですよ! これは!」


 テーブル越しに身をのりだすシェオルに副長は「いいや?」と気乗りしない表情をみせる。


「このことを知っているのはファル大尉とセリア部長だけだね。艦内に敵がいるとなれば、艦長の一存で何もかも決まる。そうなればあの艦長のことですからな。魔女狩りのようなことになりかねない」


 副長の言葉にシェオルは平静を装いながら自身の白袖に手をかさねた。鮮やかな金色の刺繍が施されたシルクの制服に純金の装飾。彼女の存在がシュヴァリエの象徴であることを示すように華美だった。

 シュヴァリエの特務長官という事実上長官と同等の権限をもつ地位にいるため、彼女の発言力は艦長、副長の順に上から数えた方が早い。これがいくらか年を重ねていれば批判も少なかったはずである。ところがシェオルの年はまだ17歳という若さであり、良家に生まれただけの物知らずな箱入り娘のようにみえた。実際、多数のシュヴァリエを死に追いやったとして、市民や大臣たちからは妬まれたり反感をうけるなど負の感情を集中的に浴びせられていた。


「先日の新型ライフルの配備の決定も裏目に出ましたからな。ウエノ博士の孫娘である貴方なら、スフィアの存在も知っている。場合によっては処刑になる可能性さえありますからな」


 その言葉にシェオルはしぼんでいくように身を縮めた。公にはされていないものの、義理の叔父にあたるウエノ・ハルテイル博士は人類史上最大の大罪人でもあった。表向きは世界の文明を進めた偉人としての名を大きく知られているが、彼こそがシープをこの世界に連れてきた張本人である。彼が発明した次元転移装置。その存在によってシープは地球に流れ着いた。そうして地球の位置を知った生き残った個体が母星に戻り、エサを見つけた働きアリのように宇宙を埋め尽くすほどの仲間を連れて帰ってきた。こうして人類が繁栄した地球は人口の9割以上を失って壊滅した。彼さえいなければ今の惨事は起きなかったのである。


 その事実が知られたとき、たとえ無垢な少女であっても、ひとたび火がつけばたちまち民衆のスケープゴートとして生贄になるだろうことは想像にかたくない。


 シェオル自身どれほど望まなかったとしても、それは床に落ちたケーキみたいに、覆しようのない事実だった。


「黒巻さんの言うとおり。そうかもしれませんね」


 シェオルは覚悟を決めたように凛々しい表情をみせた。これからどのような結末を迎えるにしても決して動じない。そういった指導者たる顔を珍しくしていた。


「なにも手をこまねいて見ているいるだけではないさ。シュヴァリエ計画はもうじき次のフェーズに進む。ヴァンドラに巣食った人面獣心どもを炙りだせるだろうから次でチェックメイトだね」


 黒巻副長はなだめるように言った。


「それなら安心ですね! そういえば――」


 シェオルはいつものほんわかとした表情をみせて、思い返すように見上げた。


「先日ラミアを討伐したシュヴァリエのハヤトさん。私、前にも会ったことあるんですよ!」

「あー……。事情聴取で会ったあのイケすかないヤツですな?」

「な、なんて酷いことを……! その前のことですよ! 地下のメイン通路にハンバーガー屋さんがあるでしょう? そこで会ったんです!」

「へー、そりゃすごい。あのバーガー屋。ヤギをシンボルにした怪しい企業じゃないか」

「ヤギとシープは違いますよ! なんならシープと羊だって見た目が似ているだけで別の種族ですから!」


 シェオルは得意げに笑ってみせた。


「とはいえ、街にいくことさえ叶いませんからね」


 嬉しそうに話すシェオルとは対照的に黒巻副長はそういった話にはまったくもって興味がなかった。ただ早く帰ってゲームがしたい。それだけを考えてただ話を聞き流していた。やがて過ぎゆく時は会議の始まりを知らせた。


「おっと、艦長のお出ましですな」


 壁にかかった古風な木製時計の針が13時を指す。ミーティングルームにヴァンドラ上層部のお偉方が軒を連ねて入ってきた。シェオルと黒巻副長は坂本艦長や強面の重鎮たちに礼をして長テーブルを囲むようにして席に掛けた。


「現在のところ惑星メルタは居住可能な大気レベルであり、移民には適した環境だとわかっている。ところが地上にケモノのような原住種族と獰猛な原生生物が発見されている。これが大きな障害だ」


 テーブル端の特等席で坂本艦長が話しだす。テーブルを囲んだ12人ほどのお偉方は、くつろぎながら耳を傾けた。


「我々の目下の目標は、このメルタ星系にあるターミナルポイントの封鎖にある。一刻も早くメルタシティを完成させ、太陽系から転移してくる敵を防ぐための防波堤を作らねばならない。敵の侵入が滞っている今が最大のチャンスとなる。移民計画を辞めるわけにはいかないのだ」


 白い軍服姿の坂本艦長は堂々とした姿で話した。


「今日ここに集まってもらったのは、その解決策をお披露目するためだ。LT社とセリア率いる艦内特別技術研究部に解決策を依頼した。さあ、進展を見せてくれたまえ」


 椅子を引きずる雑音が部屋に鳴る。先に席を立ったのはLT社の営業担当だった。セリアやシェオルと同じように未来人である彼は、独特な紫色に染めた髪に糸目という見るからに怪しい風貌をした男だった。高そうな黒スーツにワックスで固めた左右にとがった奇抜な髪は異様な形を保っている。


 対するセリアにいたっては、まとめただけの銀髪に、色とりどりの薬品で汚れた白衣というみすぼらしい格好をしていた。


 初っ端から格の違いを見せつけるように宣伝担当者はスクリーンの前を歩きながら、悪意に満ちた目つきをセリアにむけた。勝てるわけがないと言わんばかりに鼻をふくらませ、唇をほどけさせる。


「まずワタシから紹介しましょう。意のままに動く操り人形! バトラーズ!」


 両手を広げ、司会のようにおおげさな盛り上げ文句に続いてスクリーン袖のドアが開かれる。青みがかったスーツに赤ネクタイをつけたもうひとりの彼が平然と入ってきた。舞台袖に立った彼は、それが精巧にできたアンドロイドだと明かしてみせた。小さな歓声が場をざわつかせる。


 背後の大型モニターにはメガネ型HMDを身につけたLTの営業担当と彼を模したバトラーが見ている映像がコマ割りで並んでいる。


「これはワタシを再現したバトラーです。重量50gのメガネ型HMDにはトゥーンフィルターを介してアニメのように表現を限りなくマイルドにした映像が映されマス」


 外国語のような独特の喋り方で説明していく。発言に合わせてモニターに映し出されたバトラーが見ている景色がアニメチックになった。長机に座る重鎮たちの肥えた体型は軍服を着た細身の美青年になり、テーブルなどのレイアウトまでゲームのような質感にリアルタイムで置き換わっている。


「ご覧のように映像は支障のない範囲で自動的に偽りの映像を作り上げます。たとえば、こうスル!」


 青いスーツを着たバトラーが舞台袖に歩いていく。布をかけて置いてあった機甲服の首をつかんでグッと締め上げた。


 メキッ!!


 厚さ8ミリの装甲に覆われた首がアルミ缶のように潰れた。無色透明の液化装甲がポタポタと血のように滴る。一見するとバイオレンスに見えるこの光景さえも、バトラーからの視点ではファンシーなぬいぐるみのように置き換わっていた。


「所有者がオフラインの状態でも意思があると錯覚させるコトデ、自律戦闘できるのデス!」

「つまり人間だと思ってるイカれた着ぐるみってことかしら?」


 プレゼンのために用意していた改良型試作機ラプターを壊されてセリアは煽った。


「イカれた着ぐるみ? とんでもない誤解ネ。バトラー死なない。壊れたら交換するだけでスム。血生臭い現場を見ることナシに、だれでもゲーム感覚デ戦争に参加できる! キミたちシュヴァリエ計画のほうが、余程イカれてるんじゃナイ?」

「そんなことないわ。あなたはシープみたいなものを作ろうとしてる!!」

「とんでもナイ言いがかりネ。そこまで言うなら見せてちょうだいネ。シュヴァリエのチカラ」

「人の物を勝手に壊しておいてよく言うわね。覚えておきなさい!」


 セリア部長が立ち上がってミーティングルームを出ていく。その後ろ姿を満足げに彼は笑った。


「握力1トン、時速40キロで4時間ハシル。これがバトラーネ。髪型、体型も自由に変更可能。アニメ調からリアルマデ、このメガネかけるダケデカンタンにセットでキル」


 対抗馬がいなくなったことでプレゼンはLT社の独壇場になった。対する技術研究部はもういない。しかも彼らが開発した新型のSFR-12型ライフルは数日前に訓練で実弾を発射するという前代未聞の大惨事を起こしている。こうなってしまえば、何もせずに勝利を掴んだも同然だった。


「艦長もご覧になったでショウ? 無力な市民はシープ相手に逃げ惑うしかナイ。また同じことが起こらないとも限りまセン。このバトラーあれば誰もがヒーローにナル!」

「決まりだ。バトラーを採用しよう。機甲服製造に使っていた生産ラインを空けさせる。ここ1か月の死者は500人以上にもなる。これ以上人的資源を失うわけにはいかないのだ」


 坂本艦長は即決した。隣席にいた黒巻副長があわてて何度か耳打ちするも、首をへし折られた新型の機甲服が坂本艦長の目に留まることはなく、聞く耳を持たなかった。こうしてLT社の営業担当と坂本艦長は握手を交わすこととなった。そして会議の後、シェオルは艦長に興味を惹くように穏やかな声で話しかけた。


「セリアさんが作ったラプターという機体。理論上ではシープと同じことができますよ。防御フィールドを指向することで慣性を相殺。物理法則を無視することができる唯一の機体に仕上がっていると話を聞いてます」

「そうなのかね? 技術は新型艦艇の開発に使えそうだが……」


 坂本艦長は怪訝な表情をみせた。彼は気移りしやすい性格だった。というよりこれといった信念を持っているようにも思えない。なにごともその場の気分で決めている節が強かった。


「メルタにいる獣人。このまま居住層を下ろせば大きな確執ができるでしょうな」


 黒巻副長もシェオルを援護するように横から割って入る。


「なにがいいたいんだね?」

「つまり――。黒巻さんは、たかだか5万の戦力で惑星全土を制圧することは不可能だと言いたいんですメルタに住んでいる獣人は推定30億もいます。戦いになればこちらの資源が先に底をつきますよ」

「そのとおり。軌道爆撃なら絶滅は可能でしょうが、それと引き換えに我々も住むことができなくなる。本松転倒になりますがな」

「ええ、私たちの目的は移民です。共存しようとせずに敵として排除するなら、侵略になってしまいます。メルタに住む獣人だって私はこの目で見たことも、話したことさえありません。1度でも地上に降りて話し合うべきです」


 シェオルは真剣な眼差しを艦長にむけた。


「現地人との交流は血の通った人間がするべき事ですからな。バトラーの操縦者はなんのライセンスも持たない一般市民だ。なんの責任もない奴にまかせると問題が起きる可能性は極めて高い」


 黒巻副長もセールストークじみた話し方で艦長を揺さぶった。それが功をなしたのか、坂本艦長はバトラーを使った制圧作戦に一抹の不安を感じたようにみえた。


「検討しよう」


 そこまでしても艦長の答えはそれだけだった。都合が悪くなったのか、逃げるように部屋を出ていってしまった。彼の短く冷たい言葉はまったく信頼に足らないもので、今後縮小される活動資金と相まってシュヴァリエがいずれ解散となるであろうことは黒巻副長はもちろん、シェオルにとっても現実味を帯びてきた問題だった。




 〔仲間たちの眠り〕


 『先日第1から第2居住層に侵入した新生物。通称SHEEPの襲撃事件をうけ、市民の不安は高まっています。銃器の売れ行きは過去最高に……』


 待合室のテレビにはシープたちが街の天井に開けた大穴の様子が映っている。それを眺める長椅子に座った人々。杖をついた壮年の割合が多く、それ以外は極端に若い世代しか見当たらない。人類には中高年の世代ははじめからいなかったみたいだ。彼らは地球で前線を担っていたから、きっとその影響なのだろう。人材を使い尽くしたらその代わりとして、また別の者が選ばれる。こうしてシュヴァリエの番が回ってきたというわけだ。


「天崎ハヤトさーん」


 名前を呼ばれてハヤトは席を立った。紺色の制服姿でまっすぐに手を振りながら歩くその姿はまるで軍人のように規則正しい振る舞いだった。


「入院中の杉原カズキさんと高月セリカさんの面会ですね」

「そうです。病室を見ても?」

「構いませんが……」


 受付を離れて、廊下を早足で歩いていく。過ぎていく風景には目もくれず、一直線に病室に向かう。


 病室に入るとセリカの姿はなかった。ベッドの横にいた医師は「もう居ませんよ」と首をかしげた。セリカが寝ていたベッドには新しいシーツが敷かれてあって、隣にいたはずのカズキの姿もない。病室はすっかり片付けられてしまっていた。


「まさか。亡くなったんですか?」


 ハヤトは廊下に出ていく医師を追って呼び止めた。


「彼女は眠ったまま安らかに亡くなりましたよ」

「そうですか……。死因は?」

「不明です」


 医者はそう言うと首をかしげて行ってしまった。通り過ぎていく彼の奥、病室の外に見えたのは紺色の制服にの長髪の男。それは、まぎれもなくファル大尉の風貌だった。壁に寄りかかっていた彼が病室に入ってくる。


「なんというか――。その、残念だったな。葬儀は明日の昼に合同でおこなわれる。間に合ってよかった」

「ファル大尉はセリカの最後を見ましたか?」

「いや、見てない。俺はお前が来ると思って待っていただけだ」


 メガネをかけたファル大尉は喋るたびに、下のほうに目線を落とした。ふいに大尉の体からカズキの酸っぱい汗の匂いが鼻をついた。


 セリカが以前俺に言ったようにファル隊長の目線は何かを読んでいるようにみえて、まるで本心から喋っているようには感じられない。ハヤトはどことなく信頼はおけないなと感じていた。


「ここにいたカズキはどこに?」


 ハヤトはとなりのベッドに体を向けた。昨日まで巨体が横たわっていた場所も綺麗さっぱり片付いている。


「顔の再建手術のために別の病室に移っている。明日の葬儀には出席するだろう」


 ファル大尉は淡々と説明した。


「ああそれと、このあいだのことは本当に申し訳ないと思っている。すまなかったな」

「いいんです。俺も慣れました」


 ファル大尉が深く頭を下げる。ハヤトは当たり障りなく言葉を選んで答えた。


「報告書の作成がある。またな」


 ファル大尉はハヤトの肩を軽くたたいて病室を出ていった。誰もいなくなった薄暗い病室でハヤトは壁に背をあずけて俯いた。



 翌日。居住層第二層慰霊墓地――。


 ラッパの音が響く緑の草原、中心部の街から離れた人工世界のはずれに黒い喪服を着た人々が集まっていた。芝生の上には木製の簡素な棺が何列も並んでいる。


「あなた方が戦ったことは皆の心に残り、永遠に忘れられることはないだろう……。敬礼!」


 セリカの葬儀が行われた。珍しく式典用の黒い制服を着た。


 場所は居住区に入ってすぐの空き地で、青々と芝生が一面に広がる墓地に着くとそこには目新しい石板が立てられていた。その表面には数え切れないほどの名前が刻まれている。


「アルバ小隊のオルマ隊長に――。セリカもそこだ」

「この人は?」

「誰だったかな……。そいつはマシンズだ。マシュー・マシンズそう書いてある」


 ファル大尉は書類を見ながら整然と並んだ棺の列を指さした。いくつかの棺はあまり状態が良くないのか、窓が閉じた状態で写真だけが棺の上に飾られている。これは横になった隊長と仲間たちだ。今日この日までずっと冷蔵室にいたんだろう。ここ数日は色々ありすぎて、悲しむ暇もなかった。


 そこにはセリカもいた。棺の窓から中をのぞくと、白いクッションにつつまれて胸の前で手を合わせたセリカがいた。それを見た途端ハヤトは眉をさげた。顔はまるで蝋人形のようで、今にも起きて来そうなほど綺麗な姿だった。棺の前でそっと手を合わせた。


 昨日の夜はずっと考えていた。神様に生きかえらせるように願ったりもした。でも当たり前だ。そんな都合よく生きかえる事はなかった。それに、かりに生きかえったとしても、このままとは限らない。きっとそれは化け物だろう――。


「捧げーー筒!」


 アルバ小隊の番がきた。ハヤトは前に進み出た。いつになく真剣な眼差しで式典用の古風なライフルを空に構えた。いまでは俺が隊長だ。となりに並んだカズキとレイナも弾を装填する。たった3人……。もはや小隊とさえ呼べない人数だ。この葬儀に出席した人たちもそのことを噂して哀れんだ目つきでこちらを見ている。


 ハヤトは慣れ親しんだ動作で空に向かって銃を構える。そして引き金を引く。それに合わせて儀仗隊も発砲した。


 パッゴーン!!ゴーン……ゴーン…………。


 筒から放った乾いた音が天井の空に反響する。


 チャキンッ!


 真鍮製の薬莢が宙を舞って音もなく芝生に落ちる。さらに2発の空砲が間隔をあけて居住区の天井にはねかえった。


 こうして葬儀が終わると、野ざらしの貨物エレベーターに乗った数十の棺は地下に姿を消した。


 人が捌けていくなか、ハヤトは次の場所に向かった。オーフェン小隊の葬儀だ。黒服姿で集まった集団に近づく、最初は来てくれたことに感謝を述べて安らいだような表情を見せていた彼らだったが、階級章と肩に付いている太陽を模したワッペンをみつけて顔色を変えた。


「ばん! ばん! ばん!」


 小柄な隊員の1人が指でっぽうを向けた。それは子供がやるような遊びではなかった。怒気と恨みに満ちた殺意の込められたものだった。


「やめなさい。とても失礼だ」


 大人びた青年がその手を下げさせた。胸元のVマークのワッペンの下に名札があった。ライルとある。見たところ彼が隊長のようだった。


 ハヤトは何も言えなかった。俺の指揮で彼らの半数以上が命を落とすことになった。これが実戦ならいくらか浮かばれたかもしれないが……。


「すまない……いくらでも殴って構わない」


 俯いたハヤトが言えたのはそれだけだった。起きてしまった以上謝ってもどうにもならない。


「なぜ殴らなきゃならない? 俺ら以外の部隊だって同じだ。お互い様だろ」


 オーフェン小隊のライル隊長はいくらか年上で背も高いお兄さんのようだった。俯いていたハヤトは顔をあげた。彼は優しくハグした。


「気にすんな。俺が怪我して休んでさえいなけりゃこうはならなかったろうに……。ろくな教育も受けてないバカしかいねぇ小隊だかんな。俺たちシュヴァリエは遅かれ早かれ散る命だ。後か先かの違いしかねぇのよ」


 ハヤトは隊長の言葉にいくらか救われた。涙をみせないように必死に耐える。


「泣けよ。それが弔いってもんだ。気が済んだら上官ぶん殴ってもいいくらいだ。少なくとも俺はそうした」


 その言葉にハヤトは思わず泣いた。


「なはは〜……。ボクってすごく不運だからキミは悪くないと思うよ〜?」


 この場にふさわしくない気の抜けた声にふりむくと、背後から浅葱色の長い髪の少女がふらふらと歩いてくる。白シャツに赤いネクタイ、この場にしてはふさわしくない格好をしている。


「あなたは……」

「ボクはミシロ、シュヴァリエだよ?」

「いや、知ってる」

「だろうねぇ〜。このまえは助かったよ」

「ジャケットはどうした?」

「忘れたよ? 貸してくれないかな?」


「まったく。いつものお前らしい」


 ハヤトが上着を脱ぎかけると、ライル隊長はため息をついてミシロに上着を羽織らせた。


「キミもかなり不運な感じだねぇ?」いきなりそう言ってトロンとした表情で唇を結び、ニンマリと笑った。


「ミシロさんは、怪我はもう大丈夫なんですか?」

「キミのおかげで傷跡も残らなかったよ?まさかプライマリーロッドを持ってるなんてねぇ」

「あの杖、そんなに珍しいものだったんですか?」

「まぁ〜杖は珍しくないけど中身がね。そこらで売ってるアンプルとは訳がちがうし」

「ちがうって何が……?」

「あれはシープの心臓部からとれたSクォーツを砕いて精製した特別なもの。ささやかな願いなら叶うんだよ?」

「そんなすごいものならなんで……。セリカには効かなかったんだ?」


 ハヤトが声を漏らす。


「さあねぇ〜? 慰めになるかわからないけど、いいことを教えてあげよう。不運なほど長生きするんだ。ボクみたいにね? 死んだら不幸とも思えないからさ」

「俺も不運ってことですか……」

「ボクと同じ匂いがするから直感してるよ?」


 ミシロは腑抜けた声で言った。よく見ればアクセサリーだと思っていたネックレスはドッグタグの集合体だった。


「こんなことばかりで悲しくないのか?」

「死はだれにでもあるものだからね。逆に考えればまたいつか会えるってことだよ」


 ミシロは言い残して手を振った。彼女と別れた後、ハヤトは精進落としのために都心部にある学校の会場に向かった。訓練生時代に半年近くを過ごした懐かしい記憶が残る思い出の場所だった。


 会場に向かう途中、校舎横の柱を見てハヤトは拳を握り込んだ。そこにセリカが描いた昔の落書きを見つけたからだ。コンクリートに石で削ってつけた下手な猫の絵だ。ハヤトはセリカを救えなかった自分自身に苛立った。抑えきれなくなった感情を壁にぶつけた。これは良くなかった。割れるような音がして拳から肩にまでゴムが弾けたような痛みが体を痺れさせた。


 シュヴァリエは力や治癒力が上がっているだけで、体自体はふつうの人間と大差ない。馬鹿力をだせば筋肉が断裂し、全力を出した日には自壊してしまう。特殊能力を持っただけのただの子供でしかない。どんなに努力したところでその限界は人間の域を出ない。その事実を身に感じてハヤトは泣いた。


「すごい音したけど大丈夫かよー?」


 他人行儀に心配するカズキにハヤトは「大丈夫だ」と一言。涙を拭きとってよそ見をしていてぶつかったように見せかけた。それでも手の方は大丈夫ではなさそうだった。手の甲は早くも青紫色に変わっている。会場に入るなり、料理と皿が置かれたテーブル席に座ったハヤトはその手をそっとテーブルの下に引っ込めた。


 どこでどうすれば死なずに済んだのだろうか。頭のなかはそれで一杯だった。考えれば考えるほど、セリカを守れなかった自分に対する怒りが湧いてくる。


 表情には出さず、いつものように全てをあきらめたような遠い目つきをして座っていたが、実際には涙をこらえるのが精一杯で会食どころではなかった。


「カズキも顔が治ってよかった。まさかここまで直るなんて」


 ハヤトは気を取り直すように話しかけた。カズキは顔に包帯さえしていない。もとからそうであったように傷跡もない。カズキは不思議そうに口元に運んでいたスプーンを止めた。


「ん? そうだぜ」


 カズキは一瞬戸惑った表情をうかべて体を左右に揺さぶりながら笑った。


「昨日のことおぼえてる?」


 突然、レイナが問いかけた。


「ぜーんぜん!?」


 カズキは顔をしわくちゃにしておどけてみせた。その様子にハヤトは驚いた。カズキは大柄でお世辞にも頭が良さそうには見えない外見をしているがそうじゃない。まるで性格が変わったようだ。カズキの反応にレイナは興味をなくしたようにまわりの風景に視線をむけた。


「セリカに……」


 向かいの席でレイナが俯き加減に杯を小さく掲げた。ハヤトも同じようにして口をつけた。3人で囲んだテーブルはいつもと違ってとても陰気くさかった。珍しく雰囲気がよくない。会場を見渡してみると、どのテーブルも似たようなものだった。


 ロウソクが灯ったテーブルの真ん中にはアルバ小隊の集合写真と、それとは別に部屋から持ってきたセリカの写真が置いてある。左右には笑顔のカズキとハヤトの姿もうつっている。


「なんか縁起悪くない?」

「なかよしなんだからいいじゃんか! 写真これしかなかったんだ!」


 レイナが言うとカズキが言い返す。その光景に懐かしさを感じてハヤトは静かに笑った。


「セリカならきっと見守ってくれてるだろう。俺たちより一足先に自由になったんだ。もう苦しむこともない」


 ハヤトがそう言って元気づけると、ふたりは静かに笑った。


「ファル大尉はこないんだな?」

「あの大尉は忙しいみたいだ。葬儀の途中でどっか行ったよ」

「なぁハヤト……。セリカは死ぬほどの怪我だったのか?」

「カズキは黙って……」

「なぜだよ? 親友じゃんか! 聞いたらダメなのか!? シュヴァリエが怪我で死ぬわけないだろ?」


「まぁまぁ、カズキも落ち着いて。ここは静かに偲ぶ場所だ」


 不安定なふたりを落ち着かせながらハヤトは日常を装うように皿に料理をよそった。それでも苛立ちを隠せないカズキにレイナは機嫌を悪くしたようで、皿に盛ったばかりの食べかけのコーンフレークをテーブルの端によせて会場を出ていってしまった。


「黙っとけばよかったなオレ。でもさ、病気ならわかるはずじゃんか……!」

「俺もそうだと思う」

「そうか。ありがとよ」

「いいんだ。どうせお世辞だから」


 ハヤトがわざとらしく言うとカズキも小さく笑った。


「さっきも言ったとおりなんだが、オレはセリカのこと疑問に思うんだ。だっておかしいだろ?元気だったのに、いきなりこうなるなんてな……」


 ハヤトは自分が知っている真実を打ち明けるべきか迷ったが、そう長くはかからなかった。彼は昔からの親友であるし、こういった些細な齟齬でも後々になって信頼関係を破壊するには充分な要素になりうる。ファル大尉の件でそのことは身をもって理解していたからだ。それでもセリカの死について打ち明けるには勇気がいることで、まるで犯罪者になったような気分で心臓が締め付けられるような罪悪感に苛まれた。


「そのことなんだけど……」

「なんか話でもあるのかよ」

「セリカを救えなかったのは俺のせいだ……」


 カズキのトゲのある声にびくつきながらハヤトはどうにか口を動かして喋った。


「俺が治療したからだ。それに戦っていなければ今だって生きてここにいたかもしれない。あの時の俺は傲慢だった。その判断ミスが招いた結果だ」

「言うほどハヤトのせいか?」


 寿司をほおばりながらカズキが言った。その反応にハヤトは呆れた。


「なんだ、せっかく勇気を出して言ったのに呆気ないな。怒るかと思った」

「オレをなんだと思ってんだ! そんなバカじゃないぞ!」

「そうだった」


 ハヤトはテーブルの中央に並べられた料理に手をのばす。精進落としだというのになぜかベーコンやスクランブルエッグまである。


「これじゃまるでホテルの朝食だ」


 ハヤトは思わずつぶやいた。


「きっとそうだぜ。すっかり冷めてるからな!」


 そう言いつつ端から料理を平らげている。カズキに食い尽くされる前に、ハヤトは2枚の皿をテーブルに並べてまだ残っている料理たちを避難させた。


「どこかにシュヴァリエを良く思わない誰かがいるみたいだな。訓練での事故もそうだし、セリカまで死んじまった。なにか証拠は掴めたのか?」

「それがまったく。あちこち聞いてみたが、何の成果も得られなかった」


 ハヤトは諦めたような身振りをみせる。思っていた答えと違ったのか、カズキは不服そうだった。


「犯人がいるなら野放しなんだぞ! オレらの身もあぶないってことじゃんか!」

「手がかりがないんだ。気をつけるしかない」

「そう言われてもな。ここを出られるのは死んだ時だけだぞ」

「ははは……。そうかもな」


 レイナが残していったコーンフレークに手を伸ばすとカズキが慌ててそれをとめた。


「それレイナに持ってく気だろ? だったらやめとけよ」

「嫌いなのか?」

「血の味がするから嫌いだって言ってたぞ?」

「あぁ……そうか……。鉄分あるからね」

「やっぱそうなのか? オレにはよくわかんないけどなぁ」


 コーンフレークはそのままにしておいた。あとでカズキが残さず食べるだろう。かわりにフライドポテトを取って、ついでに寿司もいくつか取った。こうして2枚の小皿に小さなオードブルが出来上がった。


「ちょっとレイナのところに行ってくる。心のケアも隊長の大事な役目だからね」

「レイナはセリカと仲よかったしな。それなら、さっきは悪かったって伝えてくれよ」

「それは自分で言うべきだ」


 両手に皿を手にしたハヤトは、会場の裏手にまわった。若い隊員たちが掛け声をあげながら二列になって駆けている。その表情はまだ子供らしく、元気にあふれた無邪気さは半年前の自分を見ているようだった。


 彼らとすれ違ったハヤトはそのまま道の端まで歩いた。道の真ん中にあからさまに柵が置かれていてその先には夕焼け空の綺麗な風景が広がっている。柵をこえて進むと、境目もなしに天井まで無機質な灰色の壁がある狭い空間に変わる。その殺風景な空間には風景を映し出す投影機が横にならんでいる。壁際の段差にはレイナがちんまりと座って、光が織りなす幻想世界を裏側から眺めている。


 ここはレイナのお気に入りの場所だった。まだ訓練生だった頃に昼休みや今日みたいな行事のとき、彼女は大抵この現実に引き戻されるような陰気臭い場所に隠れていた。


「さぁオードブルだ! これでも食べたらどうだ?」


 レイナのもとに近寄ったハヤトはめずらしく昔のようにふざけてみせる。横から顔の前に皿をさしだした。すると、朱鳥は黙ってさらにうつむいてしまった。たれさがった前髪に料理がつきそうになって仕方なしに地面に置くことにした。


「食べたくなったら好きにするといい」


 レイナはうつむいたままだったが、うなずいたようにみえた。


 となりに座るとハヤトは気にせず食べはじめた。けれど、食べたい意欲とは裏腹にストレスと頭痛で思うようにすすまない。口に押し込むようにして吐きそうになりながら、どうにか場を繋いだ。


「ありがと……」


 しばらくしてレイナが顔を上げた。フォークを手にして食べはじめる。その様子を見たハヤトはあのときコーンフレークを選ばなくて良かったとカズキに感謝した。こんな時に血の味がしようものなら、きっと塞ぎ込んでしまっただろう。


「レイナはなんでここが好きなんだ?展望エリアのほうが宇宙が見えて気分転換になると思うんだけど」

「ここには何もないから……」

「そうか……。誰もいないしな。俺も落ち着くよ」

「ハヤトはなんで笑えるの?甲板でみんないなくなったときだって笑ってた……」

「あぁ……。心から笑ってるわけじゃない。レイナが思っているように、俺はひとりで抱え込むタイプだ」


 ハヤトは深く息をすってはいた。視界に入るのはぼやけたグラウンドと体育館。左右を見渡せば延々とつづく黒ずんだコンクリートと投光器だけが足元に並ぶ日常の外側だ。その不思議な感覚が、自然と本音を引き出していく。


「それに、リーダーが頼りなかったらどう思う? どんな状況でも前に立ってみんなを引っ張っていける存在じゃないと不安になるじゃないか」

「じゃあ今も無理してる?」


 レイナは申し訳なさげにじっと見つめた。


「いまは本心だと思う」


 ハヤトはそう言って、ふと顔を上げた。


 かつては本当の自分が存在した。けれど、自由のない環境で、思ったことを話すことができないまま育つうちに、自分という本当の存在はいつしか消えてしまった。


「誰かもわからない皮をかぶって生きてる。だからそれほど辛くないんだ。両親がそれを望んだし、ファル大尉もたぶんそれを望んでる。セリカとは小さい頃からの親友だったんだ。隣同士の家で毎日うるさかったけどね」


 ハヤトが自虐的に笑う。するとそれまで話を聞くだけだったレイナがめずらしく声を出した。


「そうなの。仲良いね」

「腐れ縁だから、あの世に行ったらまた会うことになるだろうな」


 ハヤトは冗談を言ってレイナを笑わせた。


「ハヤトはいつまでシュヴァリエ続けるつもりなの?」

「え?」

「もう私たちしかいない。ハヤトにも無理させてるし、いっそのこと除隊したらいい……気がする」


 弱気なレイナの言葉に心が揺らいだ。こういった心理は伝染しやすい。どうすべきか迷っていた。シュヴァリエになって半年、地球でも戦ったし、甲板で拾ったSクォーツや、仲間たちの死体から集めた装備を闇市で売ればいくらか暮らせるだろう。この前みんなで囲ったメルタの土地だって、小さな町が作れるくらいの広さだ。所有権が認められたら命をかけてまで戦う理由もない。そろそろ潮時なのかもしれないな。


 そう考えたハヤトは判断が早かった。その場でアビリティ端末に書き込んであった予定にバツをつけていく。


「ちょっと、なにしてるの?」

「こうしてるんだ。全て終わらせてやる」


 ハヤトは端末の画面を向ける。来週以降の予定はすべてキャンセルに印をつけてある。


「あとはボタンを押すだけだ。カズキはなんて言うかな」


 会場に戻ってカズキに聞くと「いいぜ!」とあっさり了承した。これでもう戦いは終わりだ。こうして唯一、特別休暇明けに入っている任務だけがキャンセル出来ずに残った。


「週末の任務が終わったら大尉には俺から話しておく」

「そう……。迷惑かけるね」

「気にするな。怖いものじゃない」


 夕方になって会食の帰り道、会場の出口には数人のシュヴァリエが立ってなにやらビラを配っていた。その中にこの前ベンチで会ったファミという少女もいた。


「いつかぶりやな!」


 ファミは姿を見るなり寄ってきて変なビラを渡してくる。新聞のような書き方で見出しがあって、軽く流し見ただけだが、シュヴァリエはメルタの土地所有を認められない。そのようなことが書いてあった。


「ウチらが命かけて得られたものは、何もなかったちゅーことや!」


 さらにわけのわからないことを熱心に説いてくる。それに食いついたのはカズキだった。


「なんだって? オレたちの努力を無駄にして美味いところだけもってく気だな!!」

「せやろ? せやろ?」


 ファミとカズキはすっかり意気投合した様子で、話には時間がかかりそうだ。ハヤトはレイナに目配せしてそっと距離をとった。


「ハヤトは参加しなくていいの?」

「座学で隊長から習っただろ。昔の因縁があるから、ああいうのに参加するのはやめろって。それに艦長の力が強すぎるから、俺たちがちょっかい出したところで見向きもしないだろう」


ハヤトの言葉にレイナは「そうね」といつもの短い返事を返しただけだった。


「俺はもう少し街を見てから帰る。あまり来るような場所でもないからね」

「そうね。また明日」


 その場で解散し、ひとりきりになったハヤトは夜の繁華街を意味もなく歩き回った。このまま帰りたくなくなる気分に駆られながら気分転換するうちに夜はふけて人気はさらに減っていった。

次回、第7話〔掴んだ証拠〕

 現場に着いたハヤトが見たのは血だまりのなかで笑う不気味な男。カズキの違和感は増すばかり、一見普通に見える箱庭のような世界は水面下で狂い始めていた。

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