第6話 弟子にしてください(3)
年下弟子さん好きに愛を込めて!
マリィは、ルークの目の前にペンダントを置いた。 「忘れな草の雫のネックレス」の静かな一粒の青い雫は、つけた者の思い出を呼び覚ます。
「僕の探し物は、これです」
だが、ルークは手を伸ばさない。いや、伸ばせないのだ。
ルークの頬から、涙の粒がポロポロとこぼれた。
触れるだけで思い出を呼び覚ますこのアイテムは、ルークの小さな胸をかき乱す。
母が昔見せてくれたこのネックレスは、彼女と共に特別なものだった。だが、持ち主の強い魔力がなければ平静ではいられない。
触れれば己の悲しみに取り込まれ、取り乱すことも知っているルークは、ただただ母の形見のネックレスを泣きながら見つめるだけだった。
「ルークが大人になって強い魔力を操ることができれば、身につけても影響を受けにくくすることが出来るわ。」
マリィは、そう言いながら宝箱にネックレスを戻す。できれば、ルークにネックレスを返してあげたい。しかし、ネックレスにはまだ触れないルークと今の持ち主のアンヌ。どうしたものか。
ふと、マリィは思いついた。
ルークが大人になって魔力を操れるようになり、このネックレスを身につけられるようになれば、アンヌからこれを買い取れるかもしれない。
このネックレスには、強い想いが込められているから、ふつうの人には身に着けることは出来ないだろう。でも、ここにどうしても欲しいルークがいる。
今はまだ触れなくても、母の形見ならば、きっとルークを守ってくれるはずだ。
「ルーク、今は残念だけど…」
「僕を弟子にしてください!!」
マリィは、口をポカンと開けたまま、立ち尽くした。
高窓から朝日が柔らかに部屋に差し込む。
ずっと俯いていたルークの、強い意志を秘めた瞳がそこにはあった。ネックレスの石と同じ深い青色を、このときマリィは初めて見た。
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