第2話 アンヌ来訪(2)
年下弟子さん好きに愛を込めて!
アンヌは自信満々にポケットから、小さな青い石のついたペンダントを取り出して、マリィの目の前に置いた。
「さあ、見てちょうだい!」
「…じゃあ鑑定するわね」
マリィは両手をペンダントの上にかざし目をつむる。
「大いなる力よ!わが手に集いて此のものを明らかにせん」
マリィがそう唱えると、両手からフワリと白い光があふれて、ペンダントを優しく包む。その瞬間、光はあっという間に消えていった。
ネックレスの上に小さな文字が見える。
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名前 忘れな草の雫のネックレス
ランク レベル2
機能 忘れられない思い出を閉じ込めた青い石のついたネックレス。つけたものの思い出を呼び覚まし、力と守りを与える。
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「これは難しい商品ね」
マリィは、首をかしげながらつぶやく。
アンヌは驚いた顔をして尋ねた。
「良い付加スキルアイテムだと思うけど?」
アンヌの感想にマリィは静かに首をふる。
ちょっと考えてほしい。これを身につければ、たしかに力と守りの力はアップする。しかし、望むと望まないに関わらず、忘れられない思い出がフラッシュバックしてしまう代物だ。
たいていの人間は、いくつかの後悔と懺悔をひっそりと胸に秘めて生活している。時間とともに癒えて薄れていく記憶を、何度も呼び覚ましてしまうこのアイテムは、厄介者扱いされる場合もあるだろうと、マリィは思う。
また、その逆で最高の瞬間を何度も味わうためにこのネックレスを使えるのだとしたら、それは未来を生きることを辞めてしまうほどの快楽となって体を蝕んでしまう可能性もある。
マリィは考える。一体どんな人がこれを求めるのか。
アンヌは、マリィの説明を聞きながら眉間にシワをよせて言った。
「ひとまず、良い売り方が出来るまでは、ここで預かっていて頂戴!
もちろん、その間は貸してあげるわよ。
使い方が決まったら、すぐに取りに来るから、よろしくね!」
早口でまくしたてるアンヌに向かって、マリィが口を開きかけた瞬間、嵐のように彼女は去っていった。
「またやられた…!」
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