第11話 本当のすがた(2)
年下弟子さん好きに愛を込めて!
全身を銀色の毛に覆われた、強くて美しい生き物は、目の前でふぅと熱い息を吐いた。
鋭い爪に、鋭い牙、キラリと光る吸い込まれそうな青い瞳の上には、毛に覆われた三角の耳。
ゆっくりと四肢で立ち上がると、ルークの幼い姿は影もかたちもなくなり、マリィの二倍くらいの大きさになった。
「まさかと思うけど、狼なの?」
「そうだよ」
気高く美しい狼からルークの声がした。
ルークは、マリィにゆっくりと鼻を寄せるとその首元を嗅ぐ。
「ああ、とってもいい匂いがする」
マリィは困惑した。
てっきりキツネの子どもだと思っていたのに、蓋を開けてみたら立派な狼だったこと。マリィが、守ってあげなければ!と意気込んだ弟子契約により、どうやら守られていたのはマリィの方だったこと。
(森の中で最近魔物の気配を感じないと思ったら、あっちが避けていたのね)
「もしかして、お腹空いてるの?」
マリィは、ブルリと肩をすくめた。
可愛い弟子のお腹が減らないように、師匠は師匠なりに頑張ってきたつもりだが、まさか、弟子にバリバリと食べられてしまうことがあるのだろうか。
「マリィはね、森の力を蓄えた木の実を食べたから、とても心地よい魔力の匂いがするよ」
(うーん。魔力のある木の実を食べさせて、美味しくされてしまっている?)
マリィは複雑な顔をした。
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