二幕 -プロローグ-
「少々、お耳に入れたい事が。」
薄暗い地下の一室。
誰も足を踏み入れないであろう場所で尚、深いフードと体型がわからないようなローブを纏い、二人の人影が話し合っている。
かろうじて、声の感じから男二人組であるということだけが分かる程度の徹底ぶりの中、耳打ちされた言葉に、
「なにぃ!?」
と、思わず大きな声が出る。
声を上げた男はすぐに口を塞いで辺りを警戒する。
周囲には虫1匹いる気配もない。
男はほっと胸を撫で下ろし、小声で会話を続ける。
「確かな情報なのか?」
「目撃者は数名ながらおりますし、数日前、アザの国は剣士団、魔導士団共に指揮の乱れが確認されたそうです。
現在は何事もなかったかのように復旧しているようですが、その乱れの原因が今の話なのであれば辻褄は合うかと。」
話を聞いた男は、フードの奥でニヤリと笑う。
「…………時が来たか。」
そう呟くと、男は懐から一枚の紙を取り出してもう一人に渡す。
紙を受け取った男は、古ぼけたその紙を見て、訝しげに問う。
「……これは?」
「来たるべき日のため、書き記されたメモだ。
時が来た時、取るべき行動の優先順位が書かれている。
各員、これに従って動くよう伝えろ。」
それだけ言うと、男はその場から去っていく。
「……どちらへ?」
「俺もまた、指示を受けねばならん。
それだけの事態ということだ。
権限は一時的にお前に任せる。
頼んだぞ。」
そう言って、男は暗闇の中に消えていく。
残された男は、渡されたメモを見ながら、
「……一体、どれだけの事が起こると言うのだ……。」
そう呟いて、しばらくの間立ち尽くしていた。




