エピローグ ー???ー
人が立ち入らない世界の果て。
そこにひっそりと存在する場所。
美しき木々。
美しき水辺。
こんな簡単な言葉では表せない。
まさに、どの風景切り取っても絵画となるような幻想的とも言える森、そして泉。
その景色の中で、一瞬だけ雑音となる存在がある。
それは、泉の真ん中に居る一人の人間。
小汚いボロボロの服を身に纏い、だらしなく寝そべっているその存在が、この景色を眺める中での唯一のノイズとなる。
だが、それを感じるのもほんの一瞬だ。
理由は2つ。
まず、それが子どもであること。
子どもとはただそれだけで無垢なるものの象徴。小汚い格好をしていても、だらしなく寝そべっていても、子どもであれば、幻想的な景色に存在することが許される。
そして、2つ目の理由。
それは、その子どもが浮いていることが原因だ。
泉の少し上空を、風に流されたりもしながらフワフワと浮遊する。
魔術が存在するこの世界でも珍しく感じる浮遊方法に、見たものは魅了されることだろう。
子どもは目を瞑ったまま、ピクリと眉を動かすとガバッと腰を起こす。
そして、ゆっくりと目を開ける。
その瞳は正しくこの幻想的な世界に合ったものだった。
七色に輝く瞳。
このボロボロの少年?がこの景色に存在する意味を表すかのような瞳。
だが、何かおかしい。
その瞳は時々曇るのだ。
美しく光る時もあれば、酷くくすんだ色になる事もあって…………?
いや、何か変だ。
もう少し、よく見てみる。
そして、気付いた。
これは目が輝いているのではない。
彼?の瞳には無数の映像が目まぐるしく写っていた。
それが、時に美しく、時に醜く光っていたのだ。
「人間があまり見るものじゃないよ。
色々壊れちゃうから、気をつけて。」
…………?
誰に向けた言葉か、少年?は孤独に呟く。
「…………ようやく、僕も楽しい日々が送れそうだ。
なるべく早く、ね。」
少年はそう呟くと、一つ大きな欠伸をする。
そうして再び寝転んだ姿勢に戻ると、また寝息を立てながらフワフワと浮かぶのだった。




