アキの答え
本を読み終えて、閉じる。
また、新しい世界が開いてしまった。
諦めの理由が一つ、消えた。
アキは複雑な表情で少し地面を見て、それではいられなくなって窓を開けて外を見る。
もうすっかり辺りは暗い。
気付けば、もう城下町の町明かりはない。
時間は深夜一時を廻っている。
こんな時間まで起きている人間などいないだろう。
皆、明日に向けて英気を養っている時間だ。
「こんな日々も、変わっていくのかな……。」
世界を変える。
それがどれだけのことか、どこまで理解できているのだろう。
色々なことを、考えてしまう。
「いや……違う。今俺が考えるべきなのは。俺が、答えを出すべきなのは……。」
この決定によって、どのような影響があるか。
それを考える必要がないわけじゃない。
だが今、そもそもアキは自分の気持ちがブレている。
最初に本を読んだときはどれだけ浮かれて勢いのままに行動していたかが分かる。
一度冷静になってしまうと、色々なことが頭に浮かぶ。
「俺は、何がしたいんだ……?それは、全てを捨ててもいいものなのか……?」
これまで一度も、そんなことを考えたことはなかった。
この世界の全ての人間がそうだろう。
この状況に疑問を持っていたアキでさえ、儀式を終えた日から、夜の一時間を除いて全ての時間を剣士として捧げてきた。
皆当然のように儀式で選ばれた職に対してのみ労力を割く。
将来について、自分の在り方について、そんなことを考えることはない。
ひたすら考える。
ひたすら悩む。
それでも、悩んでも悩んでも答えは出ない。
ただいたずらに時間だけが過ぎていく。
ようやく答えを出した時、日が真上に来てしまっていた。




