真夜中の相談会 1
ケイは、目を瞑って胡坐をして座る。
そのまま、体内の魔力を全身に巡らせていく。
心臓に溜まった魔力を腕へ。
手のひら。
指先。
そこから更に巡らせて足の方へ。
太もも、ふくらはぎ、足先。
そうして身体を巡らせたら、最後に頭へ。
少しずつ、鼻や口、耳などから自分の魔力が外へ漏れ出ていくのを感じる。
ケイはすかさずその魔力を操作。
それぞれの穴から穴へ、魔力で一つの道を作っていく。
身体の中で、魔力の輪が出来上がったら、その状態を五分ほどキープする。
これは、魔導士の基礎訓練だ。
トレーニングを行った後や、体内の魔力にゆがみが生じた際に行う。
「……ふぅ。」
一息ついて、窓の外を見る。
もうすっかり暗くなっており、町明かりがぽつぽつと消え始めていた。
「……遅いなぁ。」
アキと分かれてから五時間以上が過ぎていた。
未だにアキは姿を見せない。
流石に何かあったのでは……と思い、様子を見に行こうかと扉の方を向いた瞬間、
ドタドタドタ!!!
と、激しい足音が聞こえた。
何事かとケイが固まっていると、扉が勢いよくバンッと開かれ、
「ケイ!すげーこと知っちまったよ俺!!」
と、待ち人がものすごい勢いで入ってきた。
アキは固まっているケイに対して、勢いのままに言いたいことをまくし立てる。
「書庫でジェドさんに本貰ってさぁ、その本読んだらすげー事欠いてあって。あ、ジェドさんってのはほら、先々代の副剣士長でお前も一回会ったことがあるだろ?あの人にちょっと相談事して――」
「ちょっ……ちょっと待って‼な、何がなんだか……」
と、ケイはアキを止める。
が、
「ちょっと分かりにくかったか、先々代副剣士長のジェドさんが俺に本を貸してくれてその内容が――」
よほど興奮しているようで全く聞く耳を持たない。
ケイはハァ……とため息をつくと、
「氷結」
と呟く。
それと同時にアキの足元が物凄い速さで凍り付いていく。
アキもすぐに気付くがもう遅い。
そのままほとんど身体を動かすことも、声を上げることすら許されず、あっという間に口元までを凍らされた。
ケイは、氷漬けになって目だけで悲しみを訴えているアキに近づくと、グイっと顔を覗き込む]
「ここまでになるのは久しぶりに見たけど、相変わらずこうなると人の話を聞かないね。少しは頭冷えたかな?」
ケイはそう言って凍えるような視線をアキに向ける。
アキは冷や汗をかきながら、かろうじて動く鼻から上の部分で全力で同意を表現する。
そんなアキの態度を見て、ケイはやれやれといった表情を浮かべると、口の部分の氷を解かす。
「さて、それじゃあまず何よりも優先して言わなきゃいけないことがあるよね?」
アキはすっかり怯えた表情をしながら、寒さと恐怖が相まって消え入りそうなか細い声で言葉を発した。
「遅くなって大変申し訳ありませんでした……」




