プラトンの「大小の政府」ならぬ「最小限国家」と「贅沢国家」
【お嬢様 悪治物語】は天使で、いえ、あくまで五十界が舞台の、架空とされるお話です。
プラトンの著作によく見られる対話編(ダイアローグ)は、プラトンにゆかりのある人物や歴史上の人物を自身の作品に登場させ、対話形式で話を進めるものです。
つまり、登場人物の発言は『プラトンが、彼らの口を借りて表現している』ことにご留意下さい。
早速、引用します(引用行:>)。
>ソクラテスは、「国家」にはまず「食・住・衣」(「農夫・大工・織物工」) が必要であり、次にそれらの道具を作る「職人」、更に牛飼い・羊飼いなどの「牧人」、貿易のための「貿易商」「海事専門家」、市場における「小売商人」、力仕事のための「肉体労働者」などを挙げる。
>加えて、質素・菜食的な「食事」や「寝床」を挙げていったところで、グラウコンがそれは「豚の国/豚の飼料」のようにみすぼらしいと指摘したため、ソクラテスは、それまでの「真実の国家/健康な国家」としての「最小限国家」から、「熱で膨れ上がった国家」としての「贅沢国家」の考察に切り替えることにする。
>ソクラテスは、「贅沢国家」としてそこに、「寝椅子」「御馳走/菓子」「香料/香/妓(ぎ/あそびめ)」「絵画/刺繍」「金/象牙」を付け加え、更に「猟師」や、真似(模倣)の仕事・音楽文芸に関わる「詩人/吟誦家/俳優/舞踏家/興行師」たち、さらに「装飾品職人」「乳母/子守/教育係」「着付け侍女/理髪師」「料理人」「肉屋/屠殺屋/豚飼い」など、そして「医者」を付け加える。
ヨハネの黙示録にローマ皇帝に関する預言があります。
「その頭に七つの冠をかぶっていた」というもので、この預言はすでに成就されたのだそうです。
ただ、それに付随した預言で意味が解らないものがありました。
それが「この刻印を持たない者は、売買ができない」です。
ここで、七つの冠に戻ります。
冠とは、王冠の事です。王冠はギリシャ語で「ころな」と言うそうです。
また、太陽の光冠も王冠のギザギザに形状が似ている事から「ころな」と名付けられました。
そして、それにより売買(商売)ができなくなった者が、上記引用文の贅沢国家で挙げられた者達です(皆様の頭の中で、現代の職業に置き換えてみて下さい)。
また、引用文の最後に”そして「医者」を付け加える”も深い意味がありそうなので、医者で検索してみたら、ありました。
>(医者/裁判官においても、「魂/知識」を修養した者たちが医者/裁判官となり、「身体/魂」両面において「見込みのある者」だけを助けて、「そうでない者」は見捨てるようにしなくてはならない。)
上記のものは、今でいう”トリアージ”の様です。
奇しくも、2000年近くを経て、悪い預言が成就してしまったようです。
ただ、これはプラトンの「国家」や黙示録(聖書)が悪いという類のものではありません。
もし仮に、予言(預言)の通りに事を起こすことがあるのだとすれば、その理由は人々が受け入れやすいからです。
世界で最も読まれている聖書に書かれてある通りに事が起きれば、人々は、「あぁ、預言通りだ」とあきらめて(納得)しまうからです。
また、映画等で「ノアの大洪水」のような、世界規模の大災害をテーマにした作品が多く作られるのは、前述の「効果」を狙ったものでもあるのです。
いわゆる心象操作、世論の操作であり、隠れたプロバガンダとも言えます。
>更にソクラテスは、そうして「贅沢国家」が、「贅沢のための牧畜・農耕に、充分なだけの土地を確保しようとする」「財貨を無制限に獲得することに、夢中になる」と、「隣国の土地を切り取って、自分のものにする」ことを考えるようになり、「戦争」が発生するのであり、これ (財貨の獲得[13]) こそが、「戦争の起源」であると指摘する。グラウコンも同意する。
プラトンが「贅沢国家」を快く思っていないのは確かなようで、それが詩作 (創作)への批判にも繋がります。
>しかし、敵対者を攻略した後も、「僭主 (独裁者)」は、1「民衆が、指導者を必要とする状態を、維持するため」、2「人々が、税金と仕事に追われ、謀反を起こしにくくするため」、3「潜在的な敵対分子を、戦場に送り込んで死なせるため」といった理由から、絶えず何らかの「戦争/戦乱」を引き起こし (創り出し) 続ける。
上記の2つの引用文は戦争を起こす理由について述べられたものですが、下段の1と2は戦争だけに限った話ではないのかも知れません。
また、もし仮に、敵であるはずの武装組織に資金援助や武器の供与がされることがあるのだとすれば、それはおそらく下段の「効果」を狙ったものです。
私は”軍と税金と権勢争いのない未来”を謳っていますが、その主旨は軍(戦争のない)、税金(お金に困らない→誰もが生活できる)、権勢争い(パワーゲームのない→誰の手柄かではなく、事が成功する事こそが最重要)です。
とはいえ、侵略されない為の備えが必要(それが軍(専守防衛)になるか警察かは状況次第)なのは、プラトンの時代でも今でも変わらないのでしょう。
ただ、この備えといいのが曲者で、それを逆手に取られた感があるのが軍拡競争です。
相手が強力な武器を持ったなら、こちらも同等以上の武器をと云うのがそれで、まさに不毛なイタチごっこです。
そして、それが極まったものが核兵器です。
ここまで来ると、国レベルの管理が必須になります。
この核というもの、人類が手を出してはいけない『禁断の技術』だった様に思えます。
なぜなら、その廃棄物を安全に処理する方法が確立されていないからです。
まさに、後戻りできない(不可逆の)状態にされてしまったようです。
まぁ、それが狙いなのでしょう。
例え、世界が滅んでも、我々が支配を続けられないのであれば、何の意味もない……
きっと、そんな事を思っているのでしょうね。
愚痴が過ぎたようです。
ですから、核廃棄物をこれ以上できるだけ増やさない→核技術の凍結が急がれます。
また、国同士の戦争を起こさせないために、交戦権の放棄を(【お嬢様 悪治物語】で詳しく触れています)。
[参考・引用サイト] ウィキペディア フリー百科事典『国家 (対話篇)』参考URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6_(%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E7%AF%87)
[参考文献]該当のウィキペディアに記載されている訳書になります
訳書
『プラトンII 国家・エピノミス・書簡集』田中美知太郎編・藤沢令夫他訳、筑摩書房〈世界古典文学全集15〉、1970年。ISBN 978-448-0203151。
『クレイトポン・国家』田中美知太郎・藤沢令夫編・訳、岩波書店〈プラトン全集11〉、1976年。ISBN 978-400-0904216。
『国家 (上・下)』藤沢令夫訳、岩波書店〈岩波文庫〉、初版1979年、改版2009年。ISBN 978-400-3360170。ISBN 978-400-3360187。ワイド版2002年
抄訳版
『プラトン II 世界の名著7』(田中美知太郎責任編集、中央公論社、初版1969年)- 訳文は一部抄訳。解説は『田中美知太郎全集 19』(筑摩書房)にも収録。