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閑話 エルフの過去 その2 ~赤毛のエルフ~

 ……そんなある時の事、その子は突然現れた。

 同じエルフ……氏族は分からなかったけど、悪い人だとは思わなかった。

 その子と出会ったのは無になっている中の時。


「だ、誰!?」


 庭に植えられている木々の中から、その子は現れた。

 赤毛のショートヘアに青い瞳、そして軽やかな服装で、背中にボウガンを抱えていた……見た目から女の子のようだった。

 その子は私の驚愕の声に対し、まるで何事もなかったかのように答えた。


「あ、ごめん、ここ貴方の家?」

「え、その……はい」

「そっかーごめんね、なんか雰囲気良かったからさ、入りたくなっちゃって」


 ……雰囲気が良い、それに対しては、私は同意だった。

 だが、だからと言って、勝手に入るのはどうかと思った。

 確かにこの庭は広いから警備は薄い、警備兵もほとんど敵の氏族を殺しに行ってるから手薄だし……入るのは容易かもしれないけど。


「貴方、名前は?」

「……え?」


 女の子はまるで何事も無かったかのように名前を聞いてきたが……ここで違和感を覚えた。

 おかしい、ラサル氏族であれば、私の顔を見ればすぐに誰だかわかるはず。

 だが、その子はそんな私に対して名前を聞いてきた……ということは、彼女は違う氏族の子のようだ。


「あ、ここはアタシが名乗らないとね……アタシは『リン』! 貴方は?」


 赤毛の少女は……リンと名乗った。

 向こうが名乗ったのなら……ここは私も名乗らなきゃな。


「私は……ニオブ」

「ニオブ……良い名前だね! じゃあ『オブオブ』で!」

「……はい?」

「だって、そっちの方がバリ可愛いでしょ?」

「か、かわいい? バ、バリ?」


 何言ってるんだ、この子。

 彼女の言う奇怪な言葉に私は流された。


「ねぇねぇ、オブオブ! この森について詳しく教えて!」

「え、ちょっと……」


 私は……リンに引っ張られ、森の奥へと入っていった。



 その後、庭に行くと高確率でリンの姿があった。

 最初は警戒していた私だったけど、段々と、リンとお話しするのが楽しみになってきた。

 リンは定期的に外に出ているらしく、そこで起きた出来事とかを話してくれた。

 ダンジョンの事、そこで起きたモンスターたちとの戦い、この辺りで美しい場所……。


 私は聞いた、「なんで定期的に武力衝突が起きているのに外に出て行けるのか、怖くないのか」と。

 すると、リンはこう答えた。


「バリ怖いに決まってるよ、でもさ、外はそんな悲しい事ばかりじゃない、バリ楽しいことだってたくさんあるんだよ!」

「……」


 悲しい事ばかりじゃない、本当にそうなのだろうか?

 私は疑いを隠せなかった。


「じゃあさ、出ようよ!」

「え?」

「この近くに綺麗なお花畑があるんだ! オブオブにも美しい世界を見せてあげる!」

「ちょ、ちょっと……」


 私はリンに引っ張られ、外へと飛び出した。

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