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第83話 内戦

 テレビをつけると、夜の情報バラエティ番組がやっていた。

 何やら速報が入ったのか、スタジオが慌ただしくなっている。


『現在、アメリカやカナダ、メキシコに出現した自称「エルフ族」と名乗る謎の種族ですが、アメリカのバーモント州、ニューヨーク州の北部及びカナダのケベック州南部を舞台に同士討ちを始めている模様です! アメリカ、カナダ当局は武力による鎮圧を検討している模様です、繰り返しお伝えします……』


 ……何やら物騒な話題だ。

 エルフ族……リンと同じ種族だ。


「……」


 ふと心配になってリンを見ると……悲しげな表情でテレビを観ていた。

 同族同士の同士討ち……言わば内戦か。

 そういえばリン、故郷についてあまり話したくなさそうだったけど……故郷では度々こういうことが起きているのだろうか? だからあんまり話したくないのかな?


「……ごめん、アタシ先に寝てる、音小さくして観てね」


 ……明らかにテンションが低くなっている。

 ラピスとキセノンはそんなリンの姿を見て……優しい笑顔を見せていた。


「せや、今日は疲れてやろうから寝ときや」

「うん……寝たほうが……いい」

「……ラピラピ、ノンノン。ありがとう……ルリルリもごめんね」


 リンは一声言った後……ベッドに潜っていった。

 ……リンは明らかに泣きそうになっているように見えた。

 あんまり踏み込まない方がいいのだろうか? 元気付けてあげたいけど……どんな言葉を掛けたらいいのかわからない。


「ほな、はよDVD観ようか、瑠璃はん」

「うん……早く……観たい……」


 ……みんなはこういうのに慣れているのだろうか?

 よく言えば気を遣っている……のかな?


「……観ようか」


 ここはみんなに合わせよう……明日、聞けるタイミングがあったら、聞いてみようかな。

 ……迷惑じゃないといいけど。

 私はリンのことを考えつつ、DVDを再生機に入れた。



「さて、そろそろ寝ようか」

「せやなぁ……」

「うん……寝よう……」


 そろそろ眠くなってきたので、ここで一旦区切ろう。

 私はDVDを取り出し、ケースに納めた。


「……リンを起こさないように、ゆっくり入ろうか」

「……それがええな」

「うん……ゆっくり……入ろう……」


 私はゆっくり掛け布団を上げ、布団の中に入った。

 ……リンは私たちに背を向けた状態で寝ていたのだが、様子を見るに、すやすやと寝ているようだった。


「せやけど……ウチが上に乗ったら瑠璃はん押しつぶされるんとちゃうか?」


 確かに、ラピスは身長高いし……失礼かもしれないけど、その……大きいから、ラピスが上だとちょっと重いかも……。


「じゃあ……今日は……私が……瑠璃ちゃんの……上に……乗る」

「え……あ、うん」


 まぁ……そうなっちゃうよね。

 ……というわけで、私、キセノン、ラピスの順番で布団の中に入った。

 キセノン……やっぱり上からだと逞しさがよくわかる。


「それじゃ、おやすみ」

「おやすみ……瑠璃ちゃん……ラピスちゃん……」

「ほな、おやすみなさい」


 2人の吐息を聞きつつ……私は目を閉じた。

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