第82話 リンの髪の毛
風呂から上がり、私はみんなにドライヤーを掛けてあげることにした。
この間は私がのぼせてできなかったけど、やっぱり速攻で乾かした方が髪が痛まなくて済むもんね。
「わーあったかーい!」
「ほーらじっとして」
まずはリンにかけてあげる。
ほんと、リンはいいリアクションをしてくれる。
ドライヤーで乾かしつつ、櫛で髪の毛を整える。
リンの髪の毛……サラサラだ。
なんかいい匂いも……って私も同じシャンプー使ってるじゃん。
……ってあれ?
「なんか……一瞬髪の毛が金色にならなかった?」
私は思わずそう呟いた。
気のせいだろうか? リンのピンク色の髪が、金色になったような……。
「わ、わわわ!? な、なんでもない! なんでもないよ! バリなんでもない!!」
「ど、どうしたの?」
リンは私が整えた髪をぐっと掴み、首を大きく横に振った。
「そ、そんなことより! 次、ラピラピの番でしょ!」
「え、あ……」
「せや、次はウチの番やで! はようやってくれや!」
リンは「先に部屋に戻っている」と言って、足早にその場を後にした。
なんだろう、ラピスも何かを察するように颯爽とリンのいた椅子に座ったけど……。
ま、いっか。
私はそのまま、ラピスの髪を整える。
……ちょっと聞いてみるか。
「あの、ラピス。リンの……」
「あーほんまに暖かいな! この風!」
「あ、うん……」
うん、相当後ろめたいらしい。
聞かないでおくか……。
「瑠璃ちゃん……次……私……」
「もうちょっと待ってねキセノン。すぐ終わるから」
☆
「戻ったよ、リン」
「あ、みんなおかえりー!」
部屋に戻ると、リンは枕を抱えて座っていた。
私たちが戻ってきたことが分かると、笑顔で立ち上がって出迎えてくれた。
「ねぇねぇルリルリ! 寝る前にDVD観よ!」
部屋に戻るとリンはDVDを持ってこちらに近づく。
さっきまでとは嘘みたいに、テンションが戻っていた。
リンが持っていたのは「伝車戦隊キュウコウジャー」のDVDだった。
伝説を紡ぐ電車……通称「伝車」を操るヒーローのお話。
「うん、じゃあ眠くなるまで観ようか」
「やったぁ! 早く観よう!
この作品は色んな電車が登場するのだが……みんなに電車は伝わるのだろうか?
そんなことを考えつつ、私はテレビを付けた。
『……というわけなのですが、ここで速報が入ってまいりました』
テレビをつけると、夜の情報バラエティ番組がやっていた。
何やら速報が入ったのか、スタジオが慌ただしくなっている。




