第72話 猫の寝床
「……瑠璃さん!」
「アリスさん! 大丈夫!」
「はい! 皆さん、凄かったです!」
私たちはアリスさんと合流した。
アリスさんは私たちを見るや否や、目を輝かせていた。
「ルリルリから話は聞いたよ! 私はリン!」
「リンさん! アリスです! よろしくお願いします!」
「よろしくね! リスリス!」
「り、りすりす?」
合流する前に、4人にアリスさんのことは話しておいた。
4人は自分たち以外にも探索者がいたことに歓喜していた。
一通り自己紹介を終え、私たちはダンジョンの最奥へと歩き出した。
その間、私たちはトークを広げていた。
「なるほど、皆さんは瑠璃さんのお家に居候しているのですね!」
「うん! ルリルリのお家は駄菓子屋さんなんだ!」
「だ、だがし?」
「ふふーん、駄菓子知らないんだぁ? 駄菓子って言うのは、お小遣いで買えるようなお菓子のことなんだよ!」
「なるほど!」
いや、リンさんよ、貴方自信ありげに説明してるけど、昨日まで知らなかったでしょ。
「そういえば、アリスはんは、どこで寝泊まりしとるんや?」
「実は……道端で寝ています」
「道端ぁ!? 危ないやんけ! 女の子が一人で道路で寝るなんて……」
……道端、私も驚いてしまった。
「あ、でも一応、同じ猫獣人の女性で固まって寝てますから……」
「そういう問題とちゃうわ!」
ラピスの言う通り、いくら集団で固まっているからと言って、女性が一人で道端に寝るなんて危険すぎる。
日本はそういう事件が少ない方だけど、0ではない。
このダンジョンに入る前の時のように、チャラい集団に襲われてた程度のこともある……しかも、これはアリスさんだけの問題じゃないかもしれない、もっと多くの人が……。
「テレビで……アリスちゃん……みたいな人……大勢……いる……って言ってた」
「テレビ? キセノン、テレビでそんなこと言ってたの?」
「うん……言ってた……」
そもそも皆、私がいない間テレビ見てたんだ……。
言語が通じるからか、ニュースの内容もやはり分かるようだ。
「そうだなぁ、もしかしたら、路頭に迷ってる野郎どもが、同じく路頭に迷ってる女を襲うってことも無くはねぇ……だが、そうなる前に、日本の上の奴らが何とかしてくれるんじゃねぇか?」
「ゴルドはん、お上は既存の国民を守るのに手一杯や、向こうさんから見たら、勝手にやってきたウチらなんて、構ってる暇なんてないで」
「そ、そういうもんか?」
「そういうもんや」
ラピスの言っていることは確かに分かる。
しかも説得力がある……サンルートで似たようなことでも起きたのだろうか?
……アリスさん、心配だなぁ。




