第55話 朝の支度
「んん……?」
もう……朝か、夕飯食べずに寝ちゃったな……叔母さん、起こしてくれればよかったのに……。
時間……何時だろう? スマホ……スマホはどこだ?
あれ……体が……思うように、動かない?
そういえば昨日、地震があって、そこで変な洞窟に入って、それで……。
「あ、おはよう! ルリルリ!」
「あ、えーっと……おはよう、リン」
……そうだ、異世界の人と同居を始めたんだった。
「おはようさん、瑠璃はん」
「おはよう……瑠璃ちゃん」
「ラピスとキセノンも……おはよう」
昨夜は色々ありすぎて、頭が追い付かない……。
「実はね、ルリルリが寝てる間、いたずらしちゃおうかなーって思ったんだけど、ラピラピとノンノンが可哀そうだからやめろって言ってきちゃって……」
「当たり前や、人が寝てるってのに……」
「無防備で……いたずら……よくないよ……リンちゃん」
……うん、リンを止めてくれてありがとう、2人とも。
「みんな……昨日、夕飯食べた?」
「うん! バリ美味しかった! ルリルリは起こしたら申し訳ないと思ってたからそっとしておいたよ!」
「あれなんやろなぁ……なんか塩辛い茶色いスープに脂っこい肉……何か知らんけど美味かったわ」
「うん……美味し……かったよ……瑠璃ちゃん」
あー昨日の夕飯は味噌汁とメンチカツか、なんか言葉で分かっちゃった。
「そういえばルリルリ、今日は……えーっと、だいがくいん? てのがあるんじゃない?」
「そうだ! やばい!」
そういえばすっかり忘れていた、今日は通常通りやりやがるんだった!
全く……あんな災害があったんだから休めよって思うよほんと!
「急いで準備しなくちゃ!」
「あぁ、アタシたちも起きなきゃルリルリが起きられない……」
「ほな、早く起きようか」
「うん……起きる……」
全員で布団を飛び上がり、服を着替える。
例によってリンとキセノンは私の昔の服、ラピスは叔母さんの古着だ。
そのまま階段を駆け下り、居間へと向かった。
……朝食の匂い、叔母さんがすでに用意してくれたのだろうか?
「あら、瑠璃ちゃんリンちゃんラピスちゃんにキセノンちゃん、おはよう」
「おはよう、叔母さん」
「ハクハクおはよう!」
「琥珀はん、おはようございます」
「おはよう……ございます」
叔母さんに朝の挨拶をし、早速席に着く。
既にトーストと目玉焼きが出来上がっていた。
「おう! みんなおはよう! 今日の朝食はワシと琥珀さんが丹精込めて作ったんだ! じっくり味わって……」
「いただきます! ちょっと急いでるからトーストは食べながら行くね!」
「お、おい!」
ゴルドがなんか言ってたけど、目玉焼きと水を口の中に入れ、私は手洗い場へと向かった。
ささっと歯磨きをし、荷物を纏めた。
「みんなごめん! 私の部屋好きに使っていいから! それじゃ!」
「うん! ルリルリいってらっしゃい!」
「瑠璃はん、道中気を付けてな」
「ったく……気を付けて行けよ! 瑠璃!」
「いって……らっしゃい」
私は靴を履き、外へと出た。
この調子なら間に合いそうだ、ちゃちゃっと行こう。




