第50話 ベッド
「瑠璃ちゃん! 瑠璃ちゃん!」
「な、なに? 叔母さん!」
食器洗いが終わったのか、叔母さんが居間に戻ってきた。
「瑠璃ちゃん、明日大学院行けるの? 避難指示はもうないし、インフラ被害も無いみたいだけど……」
「多分……メール来てるかな?」
私はスマホを取り出し、大学院のメールを見てみた……。
……と、通常通りやるらしい、うーん、まだまだ皆から異世界のことについて聞きたいな。
でも、通常通りやって大丈夫かな? ダンジョンが出たらどうしよう……。
「叔母さん、明日、大学院やるみたい」
「そうかい? 気を付けるんだよ、そうそう! 部屋にリンちゃんたちを案内してあげなさい」
「う、うん!」
「やったぁ! やっとルリルリの部屋に入れる!」
「いや、楽しみなの?」
リン、なんか楽しそう。
そういえば……。
「リンたちの布団は?」
「あぁ、ごめんね。お客さん用の布団があると思ったら、一人分しか無かったから……ゴルドが使う部屋にはベッドがないから、布団を使ってもらうとして……申し訳ないけど、瑠璃ちゃんのベッドで寝てもらって」
「わ、私の!? でも私のベッドそこまで広くないよ!?」
「仕方ないじゃない、我慢しなさい」
「そ、そんな……」
いや、私は別にいいけどさ……みんな嫌でしょ? 寄り添って寝るなんて……。
「わぁー! ベッド使っていいの!?」
「ベッドで寝れるなんて久々やわぁ」
「ふかふかな……ベッド……最高……」
「そこ!?」
みんな普段どうやって寝てるの!? 床!? 床なの!?
「そんなわけだから、我慢してね」
「いや、ここはワシが布団をあげますよ、流石に男のワシが使うのは……」
「何言ってんの、仮にも同居する人の布団がないのはダメじゃない、別に女の子同士なら一緒に寝ようが大丈夫でしょ? 貴方が床で寝る必要はないの」
「は、はぁ……」
ゴルドは叔母さんに押され、布団を押し付けられてしまった。
「じゃあ、お昼ご飯ごちそうさま! ハクハク!」
「はい、お粗末様、リンちゃん」
リンは手を振り、私の腕を掴んだ。
そんなに急がなくても……。
「ルリルリ、早く行こ! ラピラピとノンノンも早く!」
「ほな、ごちそうさまでした、琥珀はん」
「ごちそう……さまでした」




