第49話 サンルート人の2人
「それで……ラピスとゴルドは、サンルート人……」
「せやで、と言っても出身地はちゃうけどな」
「具体的にどのあたり? ……っと、この地図じゃちっちゃいか、ちょっと待って!」
私はスマホを取り出し、マップアプリで、日本の全体を見せた。
「おお、それ、そんなこともできるんやな」
「凄いな……この地図と同じじゃねぇか」
ラピスとゴルドは、スマホの地図機能に驚愕している。
と、それは置いておいて。
「それで……どのあたり?」
「これ、触れてもええんか?」
「うん、拡大はこうやって指2本で広げて、縮小はその反対ね!」
地図アプリの使い方を教え、2人がどのあたりの人なのか聞いてみた。
「ワシは……ここだな」
「なるほど……北海道……」
ゴルドの出身地は……北海道、厳密に言えば、札幌や小樽、倶知安のあたりか。
「この辺にはドワーフの奴らがたくさんいる、ちょうどワシみたいにな」
「なるほど」
北の方にはドワーフが多く住んでいるらしい。
体毛が濃いのは寒さをしのぐためであろうか?
「ウチは……ここやな!」
「え? 東京?」
「とうきょう……っていうのはようわからんけど、間違いない、ここや!」
ラピスの出身地は東京、しかも23区内……都庁のある新宿のあたりだ。
勝手なイメージで京都あたりかと思ったけど、そうではないようだ。
日本だったら結構な都会人だな……サンルートではどういう街なんだろう?
「ここは主にサキュバスが住んでいるところや、と言っても、サキュバスは転々としているから、あっちこっちに住んでいる地域があるで」
「あっちこっち? サキュバスが他に住んでいる地域は?」
「うーんと……ここと……ここやな!」
ラピスが指したのは、京都と福岡のあたり。
なるほど、ラピスが関西弁風なのも納得がいくかもしれない、おそらく、彼女の祖先はこのあたりの出身で、口調もそれを受け継いでいるのかも……。
多分、福岡のあたりがサキュバスが生まれた場所で、東へ東へやってきたんだろうね。
実に興味深い……。
「ウチの出身地は所謂風俗街やな」
「……風俗街」
現実の日本でも、新宿は「そういう街」がある……ここはほぼ同じだね
「そりゃもう、そういう目的の男が……男が……」
「……ラピス?」
ラピスは言葉に詰まり、顔が真っ赤になり始めた。
「すまん、なんか寒気が……」
「大丈夫?」
突然どうしたんだろう? リンと同じで故郷にあんまいい思い出がないっぽい?
……聞かない方がいいのかな?




