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第358話 地上へ

 リンが声を掛けてくれたが……今の私に返事をする気力はない。

 だって……クロムは……。


「おーーーーーーーーーーい!! 俺はここだああああああああ!!」


 ……あれ? この声は?


「クロム!?」


 声のする方向を見ると……クロムは泳ぎながら、こちらに近づいてきていた。

 私も思わず、クロムの方向へと泳ごうとするが。


「きゃあ!?」

「あ、ルリルリ!? 大丈夫!?」

「む、無理せんでええで」


 そ、そういえば……私、まともに泳いだのずいぶん昔だった……。

 リンとラピスに支えられ、なんとか溺れずに済んだ。


「なぁなぁなぁ! 海ってすごいピカピカだな! なんかしょっぱいし、太陽にあたるとキラキラしてる!」


 私たちと合流するや否や、クロムは海の感想を笑顔で語った。

 そっか、まともに海を感じたこと無いんだ、そりゃ新鮮に感じるよね。


「……じゃ、合流したところで、早く地上へ行こうぜ、寒くてしょうがねぇ」

「うん……早く……行こう」

「ど、どのくらい時間掛かるかなぁ?」

「まぁ、そのうち着くやろ」


 ここから地上は見えないけど……ラピスの言う通り、そのうち着くよね。


「クロム、行ける?」

「おう! 任せとけ! キセノン! 早く行こうぜ!」

「うん……」


 キセノンとクロムは再び羽を広げ……私たちを抱えて飛び立った。


「あ……そうだ……『ドライ マキシマム』」


 キセノンが魔法をかけると……ずぶ濡れだった私たちの体は、瞬時に乾いた。


「うおおおおおお! すげえええ!! ピカピカだ!」

「ふふふ……ありがと」


 確かに、キセノン凄いな……瞬く間に乾いたよ。


「じゃあ……行こうか……」

「おう!」


 私たちは……朝日が照り付ける中、地上へと向かった。



「よっしゃー! 地上に到着! っと!」


 長い道のりだったが、なんとか地上まで着いた。

 地面に足が着くと、私はその場に崩れ込んだ。


「はぁー……なんか、地面に足が着くってあ幸せなんだね……」

「ほんと……バリそうだよね」

「なんか……しばらく飛びたくないわな」


 リンとラピスも、同じようにその場に倒れていた。


「……さて、ここからどうすんだ?」

「も、もちろん! 家に帰るに決まってるじゃん! ゴル爺!」

「……そうだな!」


 ……そうだ、叔母さんと約束したんだ……家に……いかいやに帰るって。

 連絡しとかないとな……あれ? スマホどっか行っちゃった?


「瑠璃、どうしたんだ?」

「あぁ、携帯……落としちゃったみたい」

「あの機械の事か、そんなに重要か?」

「いや、叔母さんに連絡しとこっかなって」

「あぁー、そうだな、確かに琥珀さんにワシらが無事だってことを伝えねぇと……」


 なにか……方法は無いかな?


「あ、瑠璃はん! あれ! あれ公衆電話とちゃうか?」

「公衆電話……そうか!」


 なるほど、その手があったか。

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