第42話 洗い終え、湯船へ
「ルリルリ、体バリ柔らかーい」
「瑠璃はんの髪の毛、綺麗やなぁ、羨ましいわ」
「は、恥ずかしいからそういうこと言うのやめて……」
2人は体を洗いつつ、私の体を褒め称える。
2人は力を抑えながら磨いているのか、くすぐったく感じた。
皆もさっきこんな感覚になったのかな? だったらくすぐったいのも納得だ。
「むぅー……私も……瑠璃ちゃん……洗いたい……」
「キセノンはんは、はよう自分の髪洗わな」
「なんか……悔しい……私も……瑠璃ちゃんに……恩返し……したい」
いやいや、恩返しって。
そんな大そうなことをしたわけじゃないと思うけど……。
さっきも思ったけど、恩返ししたいのは私の方だし、これじゃああべこべじゃない……。
「じゃ、シャワー出すよ、ルリルリ」
「う、うん」
私は目を閉じ、温かい雨を受け止めた。
泡がきれいさっぱり流れ落ち、同時に疲れも流れたように感じた。
ふぅー……さっぱりする。
「じゃあルリルリにラピラピ! 一緒に湯船に入ろ!」
「う、うん……」
一緒にかぁ……入るかな?
私たちは3人同時に湯船に入った……。
……ハッキリ言って、かなりギリギリだ、お湯が結構溢れてる。
「ノンノンも髪の毛洗って早く来なよ!」
「せやせや、はよ入らな」
いやいやいや、キセノン入れる? これ。
3人でギリギリじゃない?
「今……終わった」
「よし! じゃあラピラピにルリルリ、近づいて!」
「はいはーい、ほな、瑠璃はんも」
2人は……抱き着き始めた!?
えぇ!?
「ほら、ルリルリ早く! ノンノンが入れないよ!」
いやいやいや、流石に恥ずかしいよそれは!
2人は躊躇なく抱き着いている……私もするの?
どうしよう……。
「……瑠璃ちゃん……寒い……」
ああもう! そんなこと言わないで!
ここは仕方がない、私が湯船から出て……。
「ほら早く!」
「ちょちょちょっと!」
リンが湯船から出ようとした私を引き留め……抱き着いた。
柔らかくて逞しい2人の体が密着し、私の心臓が高鳴るのが分かった。
「ほら、これでノンノンも入れるよ! こっちおいで!」
「うん……」
ここでキセノンが入るの!? それにリン……こっちにおいでって言った!?
待ってよ!
私の心の声は届かず、キセノンも私たちに抱き着き、密着状態になった。
「やっぱりみんなでお風呂に入るとバリ気持ちいいね!」
「そ、そうだね……」
私は恥ずかしさのあまり、軽い返事しかできなかった。
うん、緊張するな、私。
これは異世界では普通なんだきっと、異世界の人なりのスキンシップなんだ、この地球にだって、キスやハグがあいさつ代わりな国だって存在するわけだし……。
しかも私たちは女同士だ、別に緊張する必要はない……。
うん、そういうわけだから、これはいたって普通のことなんだ、普通の……。
あれ……なんだか……目の前がぼやけて……。
「ふぅー気持ちええなぁ、どや? 瑠璃はんは……瑠璃はん?」
……ラピスの声に反応しようと思ったが……その前に私は眠ってしまった。
「ルリルリ!? どうしたの!?」
「あちゃー、こりゃのぼせてるわ」
「早く上げて……お水……飲ませ……なきゃ……」




