第349話 城の中
道中、攻撃を受けることはなく、それまでうじゃうじゃいたモンスターの姿も無く、私たちは城の入り口の手前までやってきた。
城の扉はまるでダンジョンボスくらい大きく、それにくらべるtお私たちは米粒同然だった。
「どういう事だろう……どこにもモンスターがいない……」
流石に敵の本拠地ならば、少なくとも護衛くらいは置いておくものだと勝手に考えていたのだが……
そんなことを考えていると……扉がゆっくりと物々しい音を立てながら開いた。
「入れ……ってことで良いのかな?」
「なんか……バリ不気味……」
でもまぁ、中に敵の大元がいるというのならば……引き返す理由は無いね。
「よっしゃ! みんな!」
「うん、行こう!」
私たちは覚悟を決め、城の中へと入っていった。
☆
「……あれ?」
城に入った途端、私たちは突然、意思とは関係なく変身を解除してしまった。
「うお!? いってぇ……」
変身解除したと同時に、クロムがキマイラの姿から人間の姿に戻ってしまい、その場に倒れこんだ。
「この……城……感じたことない……魔力……感じる」
「どういうこと?」
「多分……武装……解除させる……特殊な……魔法……だと思う。
そんな魔法が……これは厄介だ。
「ま、仕方がねぇ、先へ行こうぜ」
「そうだね」
丸腰なのは不安だが……ゴルドの言う通り、仕方がない。
私たちは城の中を進み始めた。
城の中は……まるで洪水でもあったかのような風景だった。
所々に改装が絡まっていたㇼ、魚や甲殻類の死骸が転がっていたㇼ……まるでお化け屋敷に来たようだった。
そして城の中も……これと言ったモンスターはいなかった。
上へ上へと上がっていき……最上階、そこにこれまで以上に大きな扉の部屋が見えてきた。
「これは……いかにもここにいますよって感じだね」
私は扉に手を掛け、開こうとした……のだが、どういうわけか力が入らない。
怖いのだろうか? ……なぜ、ここまで来てそんな……。
「ルリルリ」
「……リン?」
……そんな私の姿を察したのか、リンが、私の手の甲に振れるように自らの手を置いてきた。
リンの体温が鎧を通して伝わってくる……なんか、安心するかも……。
「ほな、ウチも」
「じゃあ……私も」
「俺も!」
ラピス、キセノン、クロムも……私の手を覆うように重ねてきた。
「瑠璃、ここまで来たんだ、早く行こうぜ」
「……うん!」
ゴルドは私たちの下から扉に振れ、開けるのを手助けしようとしているようだ。
……みんな、覚悟を決めたんだ、だからここにいる……こんなところで躊躇している場合じゃなかったね。
「……いくよ? 1,2の……3!」
私たちは……扉を開け、中に入った。




