第346話 ラブカルド人、救出
「ここ! ここにラブカルドの魔力を感じる!」
「ここ?」
クロムは瓦礫を必死に持ち上げようとした。
「よい……しょ」
クロムは怪力を披露し、瓦礫を1個ずつどかしていった。
私も協力しないと……でも私1人じゃあ……。
「おう、どうした?」
「何かあったの?」
クロムの姿を見て異変を感じたのか、サンルートの人たちが複数人こちらにやってきた。
私が事情を説明すると、皆お互いに顔を合わせた。
「よっしゃ! じゃあ俺たちも協力するぜ!」
「困ったときはお互い様! 私も協力するよ!」
「おーい! ここに要救助者がいるらしいぞ!」
サンルートの人達が集まりだし……がれきの撤去作業が始まった。
「ルリルリ!」
「あ、リン!」
「ここにあいつが?」
「みたいだね」
「じゃあアタシも! ノンノン! ラピラピ! ゴル爺! こっち来て!」
リン達も瓦礫の撤去に加わった。
私もそれに参加し、がれきの撤去を始めた……のだが、変身をしていない私の体力では、1個ずつ慎重に撤去するのがやっとだったが……複数のサンルート人が一斉にやった影響か、すぐに全貌が露わになった。
そこにいたのは……。
「いたぞ!」
「こ、こいつがラブカルド人……」
……瓦礫の中にいる人物、そいつは、耳の部分にヒレのようなものが生えた人物だった。
身長はゴルドよりもちょっと高いぐらいで、ぱっと見では少女にしか見えなかった。
私とリン達はサンルート人を掻い潜り、そいつの元へと向かった。
「この子が……あの怪物に?」
「し、死んでるんか?」
「いや……脈はある……呼吸もしてる……」
キセノンがそいつの体をくまなく確認していた。
キセノンは彼女の福を確認すると……ある物を取り出した。
それは、私たちが良く観るものと同じ……。
「腕輪と……カード?」
腕輪は、私たちの物とは違い、基盤がむき出しのように見え、カードには、先程戦った怪物……とは似ても似つかない、人魚のような戦士が描かれていた。
「とりあえず……治療……しよう」
「お、おい! 相手はラブカルド人……侵略者だぜ? 助けるのかよ?」
「いくら……侵略者でも……命は命……助ける……」
「お、おう……」
確かにゴルドの言い分も一理あるかもしれないが、キセノンの言う通り、命は命、助けなきゃ探索者じゃない。
「誰か……運んで……」
「お、おう! じゃあ俺が!」
「私、回復魔法使えます!」
「よっしゃ! じゃあ安全なところへ! おい、道開けろ!」
サンルート人が手分けをし、怪物に変身していた少女を運び出した。




