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第342話 触手

 なんとか脱出できた私たちは、市役所から少々離れた場所についた。

 人質の人達は全員無事……なのだが。


「し、市役所が……」


 市役所は……完全に更地になっていた。

 あ、危ない……あの場に居たら、私たちも跡形もなくなってた……。


「と、ところで、あいつは……」


 市役所の中にあいつはいなかった、一体どこに……。


「ルリルリ! あれ!」


 リンが指差した先……市役所の跡地から、タコのようなイカのような……吸盤のついた触手が複数飛び出してきたのだ。

 あんなもの、先程までは無かった……アレは一体。


『探索者めええええええ!!』


 ……市役所の方から、呻き声と共に……巨大な怪物が現れた。

 その怪物は……ファンタジー小説によく登場するタコの怪物……「スキュラ」のようだった。

 しかし、上半身は人間と呼べるようなものではなく、全身が鱗でおおわれ、顔は深海魚のように爛れていた。


『全ては……ラブカルドのためにいいいいいいいいいいい!!!!』


 怪物は地割れを引き起こすような叫び声を上げ、その触手で辺りを荒らし始めた。

 まずい……このままじゃ街が……。


「みんな! 早くあいつを何とかしよう!」


 私たちの考えは一致していた……クロムが再び分離し、私たちの手元に来た。


「ま、待って! 瑠璃!」


 変身しようとしたその時……姉さんが私の手を掴んだ。


「る、瑠璃……貴方……」

「……ごめん、姉さん……私たち、戦わなくちゃいけないんだ」

「る、瑠璃……」


 姉さんの手は……寒さに凍えるように震えていた。

 姉さんの気持ちは大体分かっていた……でも。


「心配しないで、すぐに戻るから……」

「瑠璃……」

「姉さん、私は昔とは違う……今は……戦わなくちゃいけないんだ」

「……」


 私の言葉を聞いた姉さんは……優しい笑顔を見せてくれた。


「……強くなったね、瑠璃」

「……うん!」

「絶対勝ってね……瑠璃」

「……まかせて! さぁ行こう! みんな!」


 私たちはアプリを起動させ……クロムを腕輪に通した。

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