第330話 氷の彫刻
『でっかいゴブリンはなんとななりそうだけど、残り2体……どうしよう』
キラーシャークはさっきのラピスの攻撃で怯んでいるが、スライムはその体を変化させながらこちらへと近づいてきていた。
『ど、どうしよう……』
このままじゃ、あいつに飲み込まれてしまう……それに下にいるみんなも……。
『ここは……私の……出番』
私が躊躇している中、キセノンに体の主導権が移った。
キセノンの考えることが頭の中に入ってきた……なるほど。
『行くよ……フリーズドライ……マキシマム!!』
キセノンが呪文を唱えながら、両手を前へ出した。
そして、両手から吹雪のような冷気が出現し、スライムは……固まった。
奴の体は氷の彫刻のようになり、今が攻撃の絶好のチャンスだ。
『よっしゃあ! 次はワシだな!』
今度はゴルドに体の主導権が移った……それと同時に両手に巨大な斧が出現した。
ゴルドは大股でスライムに近づきながら、斧を振りかぶった。
『行くぜ! おらぁ!!』
そのまま思いきり斧を振り下ろし、氷の彫刻は瞬く間に粉々になった。
霰のように降り注ぐ氷の塊は、やがて煙へと変貌していった。
とりあえず一体は討伐完了だ!
『よーし! 残りのやつも討伐しちゃおう!』
体の主導権がリンに移ると、片手がボウガンに変貌した。
先程まで怯んでいたゴブリンが起き上がり、私たちに襲い掛かろうとしていた。
リンはボウガンを構え、向かってくるゴブリンに目掛けて無数の矢を放った。
矢はまるで誘導されているかのようにゴブリンに向かって行き……ゴブリンは矢で串刺しにされた。
奴は先ほどのラピスの攻撃で既に体力を消費していた影響か、そのまま背中から倒れ……霧となって消滅した。
よし……残りは、あのキラーシャークだけ!
『最後は私が行くよ!』




