第285話 母の謝罪
「……え？」
母さんは、私たちに向かって……頭を深く下げたのだ。
「助けてくれてありがとう、それに……申し訳ありませんでした」
「「……」」
急にしおらしい態度を取った母に、私と叔母さんは黙ってしまった。
「それに瑠璃の仲間の皆さんにも、感謝を言いたい、瑠璃を支えてくれて、本当にありがとうございました」
母さんは続けざまに、リン達にお礼を言い、頭を上げ、感謝を表すかのように一人ずつ握手をした。
「いや、お礼を言ったらとは言ったけどね……ちょっとオーバーじゃないかい？」
叔母さんは、今まで見たことのない母さんの姿に、思わずそんな言葉を出した。
「私はどうかしていた、いつまでも自分の事ばかり考え、くだらない陰謀論に耽り……思い返すと、私の一連の行動は、どうかしていました」
「……なんだい、ようやっとわかったってのかい？ 随分と遅いねぇ」
「琥珀の言う通り、遅すぎる認識だというのは理解している、だが、ここで何も言わないと一生禍根が残る……そう思ったのだ」
「そ、そうかい……」
母さん、本当に急に態度を変えたね……まぁ見たことも無い怪物に襲われた挙句、急に変身した私を見たらそりゃ動揺もするけどさ。
「瑠璃……お前の研究は正しかった、今まで、馬鹿らしいとか……そんなことを言ってしまった。親ならば、子どもの考えを理解するのが役目であった……本当に申し訳ない」
「い、いいよもう……」
やっと認めてくれたよ……なんか呆気ない。
でも……なんだろう、どこか……納得がいかない。
確かに一連の事は謝ってくれた……なんだろう、この気持ちは。
「瑠璃……私を許してくれるか？ ……この通りだ」
母さんは再び深く頭を下げ、手を差し伸べてきた。
うーん……納得がいかないが、向こうが和解したいと申し出てるんだ、ここは、受け入れよう。
「……わかったよ」
私は母さんの気持ちに応えるべく、手を伸ばした……。
「……ッ！？ ……みんな！ なにか……来る！！」
「……え？」
突然、キセノンが大声を上げ、私たちは辺りを見渡した。
