第281話 共同作戦
「よーし! ルリルリ! ミドミド! ヒスヒス! 行くよ!」
リンの号令に私たちは返事をし、リーパーに向かって走り出した。
私と翡翠ちゃん、リンと慧ちゃんの二手に分かれ、攻撃を開始する。
「翡翠ちゃん!」
「うん!」
私と翡翠ちゃんは、剣を横に振り、先頭にいたリーパーを切り裂いた。
その流れで、私と翡翠ちゃんはさらに二手に分かれ、お互いにリーパーを切り刻んでいった。
奴らは瞬く間に煙となっていき、間を掻い潜って、私たちはキセノンたちのいる所に合流した。
「みんな! 助太刀するよ!」
「瑠璃さん! 助かるよ!」
「蛍ちゃん、久しぶり! ここまで頑張ったね!」
「うん!」
蛍ちゃんは見たところ無傷のようだ……身体能力がある分、戦闘スキルも高いのかな?
「美月はん! 行くで!」
「はい! とりゃああああああ!!」
前の方では、ラピスと美月ちゃんが見事な連携を見せていた。
2人でブレイクダンスを踊るように舞い、扇子で切り刻んでは、頭を軸に回し蹴りを始めたり……カポエイラと日本舞踊を混ぜたような戦い方だった。
「碧ちゃん……まだ……いける?」
「もちろん! 瑠璃姉ちゃん、見てて!」
碧ちゃんとキセノンは先ほどまで戦っていた影響か、息切れしているようにも見えた。
しかし、その割に2人は機敏に動いていた。
碧ちゃんは空手を基本に、投げ技や正拳突きでリーパーを圧倒していき、キセノンもそんな碧ちゃんに影響されたのか、同じように空手のような動きで奴らを吹っ飛ばしていっていた。
碧ちゃん、いくら空手の経験者だからと言って、初めての戦闘でここまで!?
「瑠璃さん! 伏せてください! はぁ!!」
アリスさんの声を聞き、咄嗟にその場に伏せると、アリスさんは杖から氷の矢を放った。
それが私の背中を通り過ぎ、私の目の前にいたリーパーに命中した。
「えぇ!? リスリス、今詠唱した!?」
「してないです! 凄いですよね?」
……ん? 無詠唱? それって異世界小説でよくあるアレ?
リンが驚いてるってことは相当凄い事だよね?
「アリス殿だけではないぞ! とりゃああああ!!」
ダイヤさんは虹色の杖を振り、巨大な隕石を作り出した。
え、えぇ……なんでそんなものを……。
「食らえ!!」
ダイヤさんが杖をもう一振りすると、巨大な隕石は、遠くの方にいたリーパーの群れに向かって落ちて行った。
隕石はそのまま地表に衝突し、リーパー達は消し炭になり、爆心地にクレーターが出来上がった。
す、すごい……。
「ちょ、ちょっとダイヤさん! やりすぎですよ! 皆さんが怪我したらどうするんですか!」
「あ、あぁ、すまん……アリス殿が凄かったので対抗してみたくってな……」
そういえばこの人、一度燃えると周りが見えなくなるんだっけ……前も離島にいるお客さんを救おうと泳ごうとしてたっけな。
「ねぇルリルリ! アタシたちも戦おう!」
「う、うん!!」
そうだ、感心している場合じゃない、みんなが戦っているのに、見てるだけなんてダメだよね!
私は刀を抜き、構えた。
「よし! リン! 後ろはよろしく!」
「任せといて!」
私は戦場に乱入し、みんなの助太刀に向かった。




