第276話 異世界人と母
「はぁ……はぁ……」
私たちは走っていた……墓場を。
骸骨の群れはしつこく私たちを追いかけ、鎌を構えて今にも一刀両断しそうな勢いだった。
段々と、私が引っ張っている母の足が鈍くなっていった。
「きゃぁ!?」
「うわ!?」
母が倒れるのと同時に、私もバランスを崩し、倒れた。
ま、まずい……このままじゃ……やられる……。
「た、助けて……」
母は命乞いをするように、私に近づいてきた。
どうしよう……この体勢じゃ、まともに攻撃できない……でも、どうにかして、応戦しないと……。
私は刀を構え、攻撃の準備を整えた。
今はダメージを食らってもいい、とにかく、母さんを守らないと……。
「こ、こい! 私は相手だ!」
骸骨は私たちに狙いを定め、鎌を振り下ろす。
な、何とかして奴らに致命傷を……。
「……瑠璃はん!!」
「……瑠璃ちゃん!!」
こ、この声は……。
「ラピス! キセノン!」
「今助けるで! おりゃああああああ!!」
骸骨たちの後ろからラピスとキセノンが飛んできて、そのまま奴らに飛び蹴りを食らわせた。
骸骨はそのまま崩れ落ち……煙となって消えた。
「……おまたせ……瑠璃ちゃん」
「大丈夫やったか?」
「ちょっと……大丈夫じゃない、かも」
私は抱き着いてきている母親に目を向けた。
2人はそれを見て察したのか、母の肩を叩いた。
「あの、大丈夫ですか?」
「もう……大丈夫……助け……来た」
母は震えた体をゆっくりと起こし、ラピスとキセノンの方へと振り向いた。
「な、なんですか貴方達!?」
「いや、そんな怖がらんでも……ってあんたは!」
「この間……いかいや……来てた……」
……え? ラピスとキセノン、母さんを知っている?
「おーい! ルリルリ! 大丈夫―?」
「瑠璃! 助けに来たぜ!」
「リン! ゴルド!」
どういうことか考えている中、リンとゴルドもこちらに走りこんできた。
「な、なんですか!? こ、今度はピンクと黄色の!?」
「あー! この人!!」
「琥珀さんを怒らせた女じゃねぇか!」
……え? リンとゴルドも知ってるの? ていうか叔母さんを怒らせたってどういう事?
私たちは一度変身を解除し、顔を合わせた。




