第274話 立ち上がる占い師
「そ、そんな……みんな……すごい」
慧が見とれる中、親衛隊の保護者……琥珀が、立ち上がった。
「……みんなが戦っているのに、大人の私がただ見ているだけってのは、ちょっとカッコ悪いね」
「お、おばさん? な、なななななななな、何を言って……」
「慧ちゃん、私はここでただ待っているのはどうも我慢ならないよ、みんな、大学院の中にいる人たちを助けようと進んでいるのに、ここでただ待っているなんてできないね」
「……」
琥珀の言葉に、慧は考えた。
自分も、ここでただ見ているだけなのか? 翡翠たちは戦っているのに、自分はただ怯えているだけなのか?
「慧ちゃん、慧ちゃんはどうなんだい?」
「わ、私は……」
慧は、親衛隊の携帯電話を握りしめ……立ち上がった。
「わ、私も戦いたい!! みんなと一緒に……ここで待つのは……嫌だ!!」
慧は決意を胸に、琥珀と共に前に進んだ。
すると、それを祝福するかのように、2人の携帯が小刻みに揺れ始めた。
「これは……」
「わ、私たちも、変身できるんですか!?」
慧は4のボタン、琥珀は5のボタンが光り、まるで携帯が戦うように指示をしているかのように見えた。
2人は光っているボタンを押した。
『親衛隊、ナンバー4!!』
『親衛隊、ナンバー5!!』
慧と琥珀の腰にベルトが巻きつき……2人は、勢いよく携帯をバックルに嵌めた。
『『親衛隊! 緊急変身!!』』
音声と共に、慧の体には桃色の、琥珀の体には金色の光が纏った。
『愛を捧げよう! 親衛隊! ナンバー4!』
『全員揃って親衛隊! ナンバー5!』
音声と共に、慧の髪の毛は桃色に染まり、桃色のサングラスとマフラー、そして深緑の装甲を身に纏った。
琥珀は、他の親衛隊のメンバーとは違い、金色の装甲に金髪、そして金色のマフラーとサングラスを身に着けた。
慧はリンと同じボウガン、琥珀は金色の巨大な双刃刀を装備していた。
「お、おばさん!? な、ななななななな、なんか全身が……ていうか私も体が……」
「あらまぁ、なんか悪趣味……でもいいね!」
2人は装備した武器を見ながら、感傷に浸っていた。
「……っと、慧ちゃん、アリスちゃんとダイヤちゃんの応援に行くよ!」
「は、はい! ……って、これどう使うんでしょう?」
慧はボウガンを見つめ、使い方を調べようとした、その時……アリスとダイヤの目の前で、リーパーが攻撃を仕掛けようとしていた。
「あ、危ない!!」
慧は咄嗟に引き金を引くと……放たれた光の矢がリーパーに命中し、リーパーは煙となって消えた。
「おお! 助かったぞ慧殿!」
「ありがとうございます! 慧さん!」
「あ、あああああああ……わ、わわわわわわ、私……矢を……」
慧は、自分が数秒前に行った行動に、動揺を隠せないでいた。
手が震え、ボウガンを落としそうになるも、琥珀が手を掴み、支えた。




