第270話 親衛隊の応援
「ノンノン! 伏せて!」
「……うん」
「ラピス! あぶねぇ!!」
「す、すまん!!」
大学院の入り口前、探索者たちは、リーパー達を食い止めていた。
外に出すまいと必死になり、疲労で倒れそうになるも親衛隊の一行の陰ながらの応援で、気力が一気に回復していた。
「がんばれ……ノン姉ちゃん!」
「ゴルドおじちゃん! 右! 来てるよ!」
「ラピスさん! かっこいいですよ!!」
「ラピスさん! がんばれー!」
親衛隊の面々は、安全なところで応援していた。
彼らの応援が功を奏し……リーパー達の数は、減っていった。
「よっしゃ! この辺のリーパーは殲滅できたな! 先へ急ぐぞ!」
「うん! みんな! 待っててね!」
「キセノンはん、行くで!」
「うん……」
探索者たちは、先に中に入った仲間……瑠璃と合流するため、ダンジョンの中に突入した。
「るり姉……中にいるみたいだけど、大丈夫かなぁ」
「きっと大丈夫だよ、瑠璃ちゃんは強いからね」
「おばさん……」
翡翠は中にいる瑠璃が不安だったが、琥珀は瑠璃の強さを信じていた。
そんな親衛隊の前に、リーパーが数体向かって来ていた。
それを見たアリス、ダイヤの2名は、盾となった。
「アリス殿! こちらにリーパーが来ているぞ!」
「はい! 生きましょう! 『マグマントル……マキシマム!!』」
「よし、余も! 『ハイドロアタック、マキシマム!!』」
アリスはマグマを、ダイヤは水を出し、2つの元素がまじりあい……黒曜石の壁を作り出した。
巨大な壁に隔たれ、リーパー達は行く手を阻まれた。
だが、奴らも壁を前にただ立ち止まっているだけではなかった……リーパー達は鎌を振り下ろし、壁の破壊を開始した。
「そ、そんな……黒曜石をいとも簡単に?」
「へこたれるでないぞ! アリス殿! 次だ!」
「は、はい!」
アリスはダイヤの激励に感化され、再びマグマを放った。
ダイヤもそれに合わせ、水を放ち、黒曜石の壁を生成させた。
親衛隊の面々は、その様子をただ見ている事しかできなかった。
そんな中、翡翠は、親衛隊のガラケーを握りしめ……静かに呟いた。
「……嫌だ」
翡翠は立ち上がり、アリスとダイヤの前へと出ようとしていた。




