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第268話 リーパー

「わぁ……この中があの洞窟なんだね! りん姉!」

「うん、そうだよ」


 いかいやにいた一同は、瑠璃の大学院前まで着いた。

 大学院には、それまで存在しなかった塔が出現していた。


「ねぇ、お姉ちゃん……アレがあの蜘蛛の森の正体?」

「らしいね……ラピスさん、ボクたちもあの中にいたんですよね?」

「せやで、ウチらの間じゃこんなん日常茶飯事や」


 蛍と美月は、過去を思い返し、苦い顔を浮かべた。


「ご、ゴルドおじちゃん! あれ!」

「……ん? うお!? モンスターが外に出やがったぞ!」


 ダンジョンの中から、ローブを着たガイコツが複数体出現し、大学院の外へと向かっていた。


「ありゃ『リーパー』やな、早う何とかせんと街が大変なことになるで!」

「ったく、しょうがねぇ、行くぜ!」


 ラピスとゴルドは腕輪を操作し、『転生』と掛け声を叫んだ。

 そして、鎧を身に纏い、ダンジョンへと走り出した。


「ミドミド、危ないからここにいてね」

「り、りりりりりりりり、リンさん! ほ、ほんとに行くんですか!?」

「うん、アタシ、戦わなきゃいけないんだ……」

「そ、そんな……」

「バリ大丈夫! すぐ終わるから」


 リンも2人の後を追い、ダンジョンへと向かおうとしたが……慧はリンの腕から離れようとしなかった。


「り、リンさん! む、向かう前に……占わせてください! すぐに終わります!!」

「うん、いいよ!」


 慧は手早くタロットカードを取り出し、2枚引いた。

 片方には司祭の格好をした男性の絵に「The Hierophant」という文字が書かれ、もう片方には猛獣を抑える女性の絵に「Strength」という文字が書かれていた。


「法王と……力……良いカードが出た!」

「それはどういう意味なの? ミドミド」

「え、えーっと、意味を解説すると……『思い通りの結果』が出て、『他の人の力を得る』……」

「……なるほど、いいね! その占い、信じるよ! ミドミド!」

「は、はい!!」


 リンは占いの結果を聞くと、慧の頭を笑顔で撫でた。


「ノン姉ちゃん……頑張ってね、アタシ応援してる!」

「うん……もしかしたら……碧ちゃんの……力……借りるかも」

「アタシの力?」

「うん……まぁ……でも……今は……ここにいて」

「う、うん!」


 リンとキセノンは、お互いに横に並び、腕輪を操作した。

 「転生」の2文字を叫び、2人は鎧に身に纏った。


「よぉーし! 行こう! ノンノン!」

「……うん……リーパー……潰す」


 2人は気合を入れ、ゴルドとラピスの助太刀に向かった。



「はぁ……はぁ……全く……いつまで歩くのです?」

「もうすぐだから文句言わないで」


 大体数十分経ったかな、私の後ろについてくるお荷物は文句ばかり言っている。


「瑠璃……」

「何?」


 またなんか文句? もうそろそろ勘弁願いたいんだけど……。


「瑠璃は、いつも……こんなことを?」


 ……急にしおらしい質問に、私は言葉に詰まった。

 前も何度かそういう質問が来た気がするけど、母からそういう質問が来るとなると、どう返していいのかわからない。

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