第244話 お風呂上りにDVD
「ふぅーバリさっぱりした!」
お風呂から上がり、各々髪を乾かして整えた後、私たちは部屋へと戻った。
「そういえばルリルリ! 営業再開するなら、紙芝居見せなきゃね!」
「あぁ、そういえばそうだったね」
実は営業再開するにあたって、新しい紙芝居をみんなと作っていたんだった。
今回の主人公は私だけじゃなくて、「違う世界で知り合った仲間」という設定でリン達も出ている。
でもお披露目は……大学院が休みの時かな。
「ねぇ……瑠璃ちゃん……寝る前に……DVD……観たい」
「お、ええな! ウチも観たいわぁ」
「あ、アタシも!」
「じゃ、眠くなるまで観ようか」
3人はベッドに腰を掛け、私はDVDを取り出す。
今日はそうだなぁ……『覆面ライダーメグゼイド』にするか。
「わぁーこれなに?」
「なんか……瞳……描かれてる……」
「なんやこれ、奇抜なヒーローやな」
DVDの表紙にはまるでテーマパークにいそうな2頭身のキャラが描かれていた。
これがあの『覆面ライダー』の主人公だとは、最初は信じられないだろう。
私は3人にこのキャラが主役だと伝えると……3人は懐疑的な表情を浮かべた。
「えぇ……なんか……ダサい」
キセノンは開口一番、そんなことを言ってきた。まぁ最初はそう思うよね。
「うーん、バリかわいいとは思うけど、これ……面白いの?」
「表紙で判断したらあかんのは分かるけど、これ大丈夫かいな?」
「大丈夫だって、きっと気にいるよ」
私はテレビをつけ、DVDを再生機に入れた。
「で……瑠璃ちゃん……これ……どういう……作品?」
「まぁ簡単に言えば……医療とゲームをテーマにしたヒーロー作品だよ」
「医療と……ゲーム? なんか……難しい……」
「ほら、始まるよ」
テレビには、開幕で主人公のナレーションが入る……ここも伏線になってるんだよねぇ……もう何回も観たけど、いつ観てもワクワクする。
それに今日はみんなと一緒だ、さらに楽しめそう。
☆
「じゃあ、ここまでにしようか」
大体序盤の山場が終わった辺りで再生を止めた。
もう時間も時間だしね。
「えぇー!? ここで終わり!? 待ってよルリルリ!!」
「ちょお待ってーな!! あいつ消えてなくなったけどどないなるんや!!」
「強敵……どうやって……勝つの?」
3人は最初の頃の懐疑的な反応はどこへやら、続きが気になるようだった。
私は先の展開を知っているんだけど……言わない方が面白いよね。
「まぁまぁ、もういい時間だし、もう寝よ……私も明日大学院だしさ」
「うーん……しょうがないなぁ」
私はDVDを取り出し、ケースに仕舞った。
そのままテレビを消そうとした、その時……キセノンがテレビを消そうとする私の手を抑えた。




