表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
289/424

第238話 一旦お別れ

「そ、そうだよみどりちゃん! みどりちゃんこの間……『災難が起きるけど、どこかで救いの手が来る』って占ってくれたじゃん! あの後地震が起きて……それでるり姉が助けてくれたもん!」

「あ、アタシも! 『空手の試合は今のままでは負けるけど、誰かの助言を聞けば勝てる』って占ってくれたじゃん! 実際あの後ノン姉と出会って試合に勝てたもん!!」


 翡翠ちゃんと碧ちゃんは、各々占いによって変わったことを言ってきた。

 なるほど、そう聞くと、慧ちゃんはやっぱり占いのセンスがあるのかも。


「人と違うかぁ、ウチも悩んだことあるからわかるで、その気持ち……そりゃ辛いもんやろな……ウチも他と違う言われとったわ」


 ……そっか、ラピスも他の同族とは違って男性が苦手だから、それでからかわれてたんだっけ。


「人と違うって辛いよね」

「瑠璃はんもそうやったんか?」

「うん、やっぱり世界の研究なんて、他の人からは浮いちゃうよ……だから、慧ちゃんの気持ち、わかるかも」

「……辛いな、お互いに」

「そうだね……」


 私とラピスは感極まって、リンと同じように、慧ちゃんを抱きしめた。


「慧ちゃん、リンの言う通り、慧ちゃんはおかしくない、寧ろすごいと思うよ、占いのおかげで翡翠ちゃんと碧ちゃんは救われたわけだし」

「そ、そうかな?」

「うん、確かに悪い結果も出るけど……それは運が悪かったってだけでしょ?」

「う、うーん……運が悪いか……」

「でもそれって、占いの面白いところって思わない?」

「そ、そう……かも」


 翡翠ちゃんは、私たちの体温を感じつつ、どこか納得した表情を浮かべていた。

 しばらくして、私たちは慧ちゃんから離れた。


「ねぇ、ミドミド! もっとあなたの占い、聞きたいな!」

「え? い、いいの?」

「うん! あ、そうだ! もうすぐいかいやが営業再開するんだ! だよね、ルリルリ!」

「うん、叔母さんの体調がよくなったら再開するよ」


 営業を再開すると言った途端、翡翠ちゃんと碧ちゃんが歓喜の声を上げ、私に抱き着いてきた。


「ねぇねぇるり姉! 今の話本当!?」

「本当だよ」

「やったぁ!! アタシ、絶対行くから!!」

「ふふふ、待ってるよ、碧ちゃん」


 私は2人を抱きしめ返し、頭を撫でた。


「じゃあさ! 慧ちゃんも一緒に行こう!」

「い、いいいいい、いいの?」

「もちろん! みんなで行ったほうが楽しいよ!!」

「そうだ! そういえば銀ちゃん、足の調子が良くなってきたって言ってた!! もしかしたら、いかいやに行けるかも!!」

「いいね! じゃあ4人で行こう!! 決まりだね!!」


 どうやら子どもたちの間で、約束が決まったようだ。


「ほな、もうすぐ日が暮れるし、はようお家帰んなさいな」

「うん! じゃあるり姉、リン姉、ラピ姉! 今度いかいやで!!」

「またね!!」

「ま、また会いましょう……」


 私たちは子どもたちに手を振って見送り、子どもたちは走って住宅地の中へと消えていった。


「営業再開、バリ楽しみだね、ルリルリ!」

「うん、早く皆に会いたいけど……私明日からしばらく大学院なんだよね」

「それは残念やなぁ……まぁでも、いかいやや琥珀はんの事はウチらに任せなさいな」

「うん、ありがとう」


 営業再開の日……私は立ち会うことができるのだろうか?


「じゃあ、アタシたちも帰ろう!」

「せやな!」

「え、ちょっと……」

「さぁしゅっぱーつ!!」


 リンとラピスが再び私の腕に巻き付き……私たちは帰路へと着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ