第224話 ソムリエ
「よう頑張ったな、瑠璃はん……キセノンはんも、ものすごい考え思いつきましたなぁ、まさか瑠璃はんをぶん投げるなんて」
「うん……ラピスちゃんも……凄かった」
「そうかい……ウチ、めっちゃ嬉しいで……」
「私……やっぱり……ラピスちゃん……好き」
「そ、そない恥ずかしい事言わんといてや!」
「……ダメ?」
「ダメやないけど……」
「じゃあ……別に……いいでしょ?」
「ま、まぁ……嬉しくないわけやないけど、あはは……」
「ふふふ……」
ラピスとキセノンは私など眼中になく、変なムードになっていった。
「ちょ、ちょっと2人とも?」
そして2人は……例によってキス魔パワーが発動し、お互いに口づけを始めてしまった……。
なんかもう、この流れ慣れてきちゃったよ、そしてこの後は多分……。
「あぁ、瑠璃はんもやる?」
「うん……私たち……だけ……ずるいよね」
「いや、ずるいも何もないって……」
「そない遠慮せんでもええって、ほな」
ラピスがキス顔で私を待っている……これは答えないと戻らないやつだ。
しょうがない、答えよう。
私はラピスに近づき……お互いの唇を重ね合わせた。
ラピスの唇の味……何度か味わったけど、いつも新鮮に感じる。
しばらく重ね合わせ、お互いに離れた。
「瑠璃ちゃん……私にも……」
「わかってるよ」
キセノンもキス顔になり、私はそれに答えるように唇を重ねた。
キセノンの唇は、どことなくレバーのような感じだ。
彼女が吸血鬼だからと言うのもあるかもしれないけど。
でも、そんな味だけじゃなくて、どことなく甘みも感じる……ってなんで私はソムリエみたいな……。
まぁいい、とりあえずそろそろ離れ……られない。
キセノンは私の顔に手を回し、離すまいとしていた。
「ん……んん……」
何とかは慣れようとするも、キセノンの力は強く、中々は慣れられなかった。
な、なんなの? この子そんなにキスしてたい?
「ん……ふぃせのん……んん……」
「ん……もっふぉ……」
「ん……もういいって!!」
私はキセノンの肩を思いきり押し、何とか離れさせた。
あ、あぶない……あと少しで気絶するところだった。
「ごめん……つい……興が乗っちゃった……」
「はぁ……はぁ……別に……いいけど……限度ってものがあるでしょ?」
興が乗って長時間キスって……。
あぁんもう! 恥ずかしい!! さっさと行こう!!
「ま、まぁいいや! と、とりあえず先行こう! もう十分休んだから! 転生!」
私はカードを取り出して立ち上がり、掛け声を上げて変身した。
「ちょ、瑠璃はん! ウチも! 転生!」
「転……生」
2人も立ち上がって、戦士に変身する。
私はキスのせいで少々体が火照っているが、戦いには支障はない……はず。
「は、早く行くよ!」
「ほな、行こう!」
「うん……行こう……」
私たちは、最奥を目指すために歩き出した。




