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第208話 周りから見た2人

「さて、ごちそうさま!」

「おう、お粗末様、食器はワシが洗っておくからよ……っと、そうだ! そういえばこの間、肉を買うのを忘れていたんだ!」

「あ、そうだった!」


 そういえば昨日、キセノンが「肉が足りないからイノシシを狩った」とかなんとか言ってたよな……もしかしたら、その他にも色々切れてるかも。


「それじゃ、スーパーでなんか買ってこよう!」

「そ、それじゃあワシは琥珀さんにお粥を作るぜ! あぁ、そういえばそろそろ冷やしたタオルとか……」

「ゴルド、焦らないの」


 ゴルドは叔母さんの事になるとすぐこうだ、もう少し落ち着けないものか……。


「そ、そうだな……一回段取りを決めなきゃな、まず鶏肉がねぇから出汁はアレを使って……んで飯をその中に入れる前に冷水とタオルを用意して、そんでもって……」


 ゴルドはその場で、段取りを口にしながら、イメトレを始めた。

 それ、意味ある? 紙とかに書いた方が良いと思うけど……。


「ほな、医薬品買うの勿体ないからウチがポーション作ったるで!」

「それは……いい……考え……素材……探す?」

「せやな! ほな、そうと決まったら早速行くで!」

「うん……早く……琥珀ちゃんに……元気になって……欲しい」


 キセノンとラピスは素材を探しに外に出るらしい……「別に市販のやつでいいよ!」と言いたかったが、2人は荷物を纏め、外へと出てしまった……。

 まぁ、ラピスのポーションは効き目抜群だし、キセノンも知識があるから大丈夫だとは思うけど……。


「じゃあルリルリ! アタシ、買い物一緒に行ってもいい?」

「いいよ、じゃあ行こうか」

「やったぁ!」

「それじゃ、買うものメモしなくちゃね」


 私は早速台所へ行き、スマホに買うものをメモし、マイバックを持ち、準備を整えた。


「それじゃ、リン、行こうか」

「うん! じゃあゴル爺、行ってくるね!」

「おう! ダンジョン出たら連絡しろよ!」


 私とリンは手を繋いで、外へと出た。



「えへへ~ルリルリと2人っきり~」

「そ、そこまで近づかなくてもいいじゃん……」


 歩き始めてしばらくすると、リンは腕を絡ませてきた……。

 リンの体温と脈拍が私の腕にも伝わってきて……なんか、恥ずかしい。


「ねぇルリルリ! もしかしてだけど……周りから見たら、アタシたち、『恋人』に見えるかな?」

「え、ちょ……はぁ!?」


 リンは、唐突にめちゃくちゃ恥ずかしい事を口にした。


「な、なななななななな、何唐突にそんなこと……」

「……変?」

「変じゃない! 変じゃないよ! だ、だけどさ、そういうのってもうちょっと段階踏んでさ……」

「段階? どうしたの急に」

「あ、えっと……」


 い、いけない……恥ずかしさのあまり、変なこと考えちゃった……。


「な、なんでもない!」

「なんでもなくないよ! 気になるじゃん!」

「いや、本当になんでもないって……」


 どうしよう、リンの好奇心が働いてしまった……ここは違う話題を振ろう。


「そ、そういえばさー、これから行くスーパーなんだけど……この間のショッピングモールじゃなくて、ドラッグストア……お薬売ってるところと併設してるところなんだよねー……リン達が日本に来るちょっと前に出来たばっかりなんだよねー……」

「ちょっとルリルリ! 話逸らさないでよ!」

「もしかしたら、美味しい食べ物いっぱいかもねー……」

「食べ物!? 早く行こうよ!」


 リンは先ほどの事などすっかり忘れ、食欲を発揮させた。

 私の腕を強引に引っ張り、スーパーへと急がせた。


「ちょっとリン! 落ち着いてって! 食べ物は逃げないから!」


 私はリンの歩幅に合わせるのに必死だった。


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