第204話 異世界人が病気になったら
「ふぅー……バリすっきりする~……」
「ほんまやな……」
「ふふ……みんなで……お風呂……楽しい」
「うふふ、キセノン、体洗うの上手かったよ」
体をキセノンが洗ってくれて、私たちは湯船の中に入る……例によって、4人で寄り添いながら。
もう何回もやって慣れてきてしまっている自分が怖い……。
「……ほんと、叔母さん病院で貰っちゃったのかな」
「かもしれへんな、すぐ治るとええんやけど……」
「ハクハク、元気になるといいなぁ」
ラピスとリンは、心配そうな顔を浮かべている……確かに私も心配だ。
「琥珀ちゃん……人間の中だと……高齢……だから……抵抗力……落ちてる……かも」
「せやろな、なにか体が温まるもん食べてもろて、体の芯まで温めてもらわんとな」
「だね! 病気の時は温まるのがバリ一番だよね!」
……病気、そういえば気になることがある。
「そういえば、みんなは大きな病気にかかった時、元の世界ではどんな風にしてた?」
「うーん……とりえあず寝てた!」
「そりゃそうでしょ……」
リンの故郷では「とりあえず寝る」というのが主流なのだろうか?
でもまぁ……リンの故郷の事情を考えると、それが普通なのか?
「ウチの実家やと……『魚の精巣と大根をすり潰して混ぜたもの』を飲ませると治るってやつがあったわ」
「うぇ……」
魚の精巣……要は白子と大根を混ぜたもの……想像するだけで気分が悪い。
お鍋の食材をそのまま飲むって……。
「まぁ瑠璃はんもそんな反応するやろな……それが正常やで」
「やっぱり……不味い?」
「そらもう! せやからウチは病気にならんよう頑張ったわ!」
……もしかすると、サキュバスやインキュバスの間では、「病気になるとそういうのを摂取する羽目になる」ということを子どもたちに教えるために、そういうことをしているのだろうか?
だとしたら、あんまりいい効果を持たないと思うけど……まぁ、人の習慣にケチをつけるわけにもいかないか。
「それで、キセノンは?」
「うーん……私たち吸血鬼は……独自の……薬……作って……飲む」
「なるほどね……」
確かに、現実の中国や台湾でも、独自の医学というのは紀元前から発達していた。
吸血鬼も、恐らくかなり昔から医学は発展していたのだろう……。
「それで? ルリルリは病気になったらどうしてた?」
「わ、私?」
リンに振られた質問……私はぱっと答えられなかった。
私が……病気になった時……。




