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現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた  作者: 立風館幻夢
第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!
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ドワーフの過去 その11 ~病、再び~

 その日、なんとかダンジョン探索を終えたワシらは、そのままギルドへ報告に向かった。


「いやぁ、ほんまに、今日はほんまにありがとうな、ゴルドはん……それに……なんか誤解してたみたいで、ほんま申し訳ない」

「別に気にしてねぇよ、テメェの事情を考えたら、そんな風にもなるさ」


 報告を終えると、開口一番、ラピスがワシに謝罪をし、頭を下げてきた。

 別にそこまでしなくてもいいと思うんだがな……。


「あの、よければやけど……このまま一緒にパーティ組まへん?」

「なんでだ? ワシは男だぞ? また放心状態になるんじゃねぇか?」

「か、からかわんでええねん! 別にアンタは無害やって分かったし……今後そういう目的で男がここに入ってくる可能性もあるし……まぁ、魔よけみたいなもんや!」

「魔よけってなんだよ!」


 やっぱりこいつの目に見えるワシってなんなんだ?

 そんなことを考えていると、リンが元気よく手を上げた。


「はいはーい! アタシもゴル爺がパーティに入ることには賛成! ノンノンは?」

「うん……私も……いいと……思う」


 キセノンも賛成の意を示し、全会一致となってしまった。


「じゃあ決まりだね!」

「お、おい! 勝手に決めんなよ! ……ま、せいぜい足引っ張らないようにしろよな!」

「うん! よろしくね! ラピラピもいいよね?」

「もちろん! ええで! 改めてよろしゅうな」


 ……こうして、ワシは正式にこのパーティに入ることになった。



 そこから大体数十年、このパーティで活動した。

 本当にいろいろなことがあった……風邪でぶっ倒れたり、リンとラピスが泥みたいな飯作ったり、キセノンがギルドのお偉いさんを吹っ飛ばしたり、ワシが良い女を見つけてついていったら迷子になったり……。


 んで、数十年立ってると、こういう事も起きる。


「ゴホゴホ……ゴルド……来てくれたんだね」


 ……受付の姉ちゃんが病気になった。

 とは言っても年齢を考えたら仕方がないともいえる……むしろ、ここまでよく生きてこれたものだと言いたい。


「息子さんは? いらっしゃったんですか?」

「あぁ……少し前にね……にしても……あんなに小さかった子が……今や子を持つ親とはね……しかもその子どもも……もうじき結婚して子どもが生まれるみたい……長生きするもんだね……」

「90年と言っても、ワシからすれば全然若いですよ」

「そうかい……」


 ……人間で90歳ともなればそれなりに長い期間を生きている。

 ということは……彼女の体も、既に限界が来ているはずだ。


「医者が言ってたんだけどね……もう年齢が年齢だし、1年生きてれば運がいいってさ」

「……」


 ワシは姉ちゃんの今の姿を見て、お袋を思い出した。

 ワシは……なんとかお袋に生きてもらいたいと思って、迷信を信じて山の中に入り……そして、お袋の死ぬ間際を見届けられなかった。

 ……その時のワシは、現実を受け入れられなかったと、今振り返って思う。

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