表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた  作者: 立風館幻夢
第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!
237/424

ドワーフの過去 その1 ~孤児と老人~

 ワシは物心ついたころから、両親がいなかった。

 人間や獣人よりも圧倒的に命が長いワシらドワーフにとって、「親がいない」というのはかなり珍しい。

 そんなワシを同族は「可哀そうな子」「もはや救いようのない子」という風に見てきた。

 同族は、決してワシを助けようとはしなかった……だが、そんなワシを助けてくれた存在がいた……それが、「お袋」だった。


「はーい、皆さん。お食事の時間ですよ」


 お袋が食事の時間を伝え、ワシを含めた子どもたちが集まる……そう、ここは所謂「孤児院」だ。

 お袋は人間で、女手1つで孤児院を立ち上げ、ワシのような独り身となった子どもを引き取り、育てている。

 ワシら子どもは種族も何もかもバラバラ……だが、同じお袋の元で住んでいる身同士……お互いに意気投合した。


「ゴルド兄ちゃ~ん、イマルの奴が僕を殴った~」

「おいおい、男がそんなんで泣くんじゃねぇよ」

「ゴルド兄ちゃん! 私のぬいぐるみ知らな~い?」

「あぁ、それなら……」


 長命種であるワシは、同じ子供たちの中では圧倒的に上……お袋よりも年上だった。

 だからか、みんなワシの事を兄貴分として見ていた。


「ありがとうね、ゴルド、助かるよ」

「こ、これくらいの事、年上だから当然ですよ」


 お袋の年齢は60歳……ワシからするとまだまだ若いが、人間としては老人、一人で大勢の子供たちの面倒を見るのは限界があった。

 だから、何とか動けるワシが、家事を全体的に手伝った。

 料理に洗濯、赤ん坊のオムツ交換にまだ小さい奴らの遊び相手。

 そんなことを数年続けていると、子どもたちも真似をするようになり、気が付くと、お袋が動かなくても家事が回るようになった。


「凄いねぇ、みんな立派に成長しちゃって」

「これもお袋のおかげですよ」

「そうかい、ふふふ……」


 次第にワシは……お袋の事が恋愛的に好きになった。

 孤独だったワシを拾ってくれただけではなく、色々面倒を見てくれて……それでいて、逞しかった。

 同族の女や、他の種族の若い女には、不思議と興味が湧かなかった。

 同族はあまり好きじゃねぇし、若い女も、子どもたちを見ていると、少し躊躇してしまう。

 ワシがもし、付き合うのなら……お袋みたいな、歳をとって貫禄のある、逞しい人間の女が良い、そう考えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ