第23話 全員変身
私はリンの狙撃に合わせ、奴らに斬撃を繰り出す。
奴らは次々と煙になっていき、気づけば4割ほど処理が終わっていた。
「……あかんあかん、つい見とれてもうた……ゴルドはん! キセノンはん! ウチらも行くで!」
「お、おい……行くったって……」
ふと3人に振り向くと、皆茫然と私たちを見ていた。
「ゴルドちゃん……一緒にやる……」
「お、おう……えぇっと……こうか?」
3人……というよりゴルドは、困惑から抜け出せていないようだった。
そうこうしているうちに、3人に向かって怪物が襲い掛かろうとしている。
私は咄嗟に、刀でそいつを一刀両断にし、彼らの盾となった。
「これ押して!」
私はゴルドのスマートウォッチを指差して指示を出した。
「あ、こ、こうか……?」
「そう! そんでカードかざして!」
「え、えぇっと……リンはこうしていたよな?」
私はゴルドに向かってどうやったかを指示をする。
彼は困惑しつつも、言う通りにした。
<転生 ドワーフ>
「な、なんだこりゃ!?」
ゴルドはウォッチに表示された文字に困惑を示す。
まぁ、私もそんな感じの反応見せてた気がするけど。
「ウチのも似たような表示出たわ!」
「なに……これ……」
2人のにも同じような表示が出たようだった。
そうこうしているうちに、3人の身体が光に包まれる。
そして……それぞれ、カードに描かれていた戦士に変身した。
……3人中1人は、その見た目が大きく変わっていた。
いや、姿が変わるわけだし、大きく変わるのは当たり前なんだけど、明らかに違かった。
その1人というのは……。
「なななななな、なんだ!? なんか目線が高くなっていないか!? ワシどうなった!?」
……ゴルドだった。
ゴルドの身長が、私たちと同じくらい高くなったのだ。
「ゴルドはん、全然ちゃうやんけ!」
「お前らも大概だろ!」
「いや……ゴルドちゃん……身長……高くなってる……」
「嘘だろ!? 通りで目線が……っと、体のバランスがとりづらい……」
黄色の戦士に変身したゴルドは、まず立っていること自体がやっとなようだった。
私たちは身長がいきなり高くなったゴルドに困惑していたが、その困惑はすぐに払い除けられた。
なぜなら……。
「なんや!? ウチの鉄扇が……」
「私……拳が……」
「ワシの斧もか!?」
3人の武器が光を放ったからだった。
ラピスの鉄扇は鋭い刺のようなものが生え、キセノンはボクシングのグローブのようなものを装備し、ゴルドの斧は黄色く巨大になった。
キセノンの場合、武器って言えるかは微妙だけど……。
「みんなバリ凄いじゃん! 早く一緒に戦おうよ!」
リンが矢を放ちながらそう言う。
確かに……正直ちょっと2人じゃキツイかも……。
「まぁええか! 行くで!」
「私も……行く!」
「体のバランスがとりづれぇけど、ここは行くしかねぇか!」
3人は気合を入れたのか、戦いに加勢する。
奴らも気合を入れたのか、先ほどよりも攻撃が激しくなっていた。
私は苦戦しつつも、奴らを切り刻んでいく。
皆は手慣れているのか、なくなくと処理をしている。
「すごい! バリ強いよやっぱ!」
「舞いやすいな、この鉄扇! ウチ気に入ったで!」
「この拳……パワー……ある……」
「少々バランスが取りづらいが……この斧は振りやすい!」
流石はプロと言ったところであろうか……私も負けていられないな!
私も負けじと、奴らを切り刻んでいった。




