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現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた  作者: 立風館幻夢
第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!
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吸血鬼の過去 その10 ~想い~

「ラピス……ちゃん……」

「お詫びなんていらんわ……ウチは……」

「……」


 私は、ラピスちゃんの温もりを感じると、自然と冷静になった。


「ごめん……私……今まで……ラピスちゃんに……酷い事……」

「気にしてへんわアホ……好きな人の為にそう行動したんやろ? ならウチはなんも言わへん……むしろ、好きな人の為にそこまでできるなんて、褒め称えたいぐらいやわ」

「どういう……こと?」

「実はウチ……」


 ……ラピスちゃんは、自分の過去を語ってくれた。

 探索者を始めた時、最初に入ったパーティで好きな人ができたこと。

 その人に褒められようと頑張ったけど、その人には旦那さんと息子さんがいて、絶望したこと。

 そんな絶望の気持ちをその人にぶつけてしまい、そのまま逃げるように旅に出たことを話してくれた。


「そんな……ことが……」

「せやねん、やからウチはキセノンはんの行動、間違ってへんと思うで」

「でも……そのせいで……ラピスちゃんは……」

「別に怪我くらい、この仕事してたらするやろ」

「そんな……」


 私は、ラピスちゃんの言葉を聞き、初めて「恥ずかしい」という気持ちになった。


「ま、とりあえず、今までの事はお互い忘れようや、ほな、はよ服着ろや、風邪ひくで」

「そんな……ラピスちゃん……私……」

「ええねん、ウチはキセノンはんが無事なだけで……」

「……ラピスちゃん!」

「うおお!?」


 私は気持ちが高ぶってしまい、思わず、ラピスちゃんを抱きしめた。


「いててて!! ちょお、強く抱きしめんでも……」

「ご……ごめん」


 私は力を緩め、ラピスちゃんと目を合わせた。


「いやぁでも、ウチも躊躇せんと、行動せんとあかんな」

「どういう……こと?」

「じ、実はな、怒らんで聞いてほしいねんけど……ウチも、リンはんの事……好きやねん」

「え……そ……そうなの?」


 ラピスちゃん……リンちゃんのこと、好きなんだ。


「いや、そんな悲しい顔せんといてや! べ、別にウチは、リンはんが幸せならそれでええんや、別にキセノンはんと結ばれても、それはそれで……」

「……」


 私は……ラピスちゃんの言葉に感極まり、再び抱きしめた。


「いててててて!! な、なんやねん!」

「ラピスちゃん……私……リンちゃんが……好き……でも……ラピスちゃんも……好き!」

「は、はい!?」


 私は、ありのままの思いを、ラピスちゃんにぶつけた。

 ラピスちゃんは困惑している様子だったが、今のこれが私の本心だ。

 私は、リンちゃんもラピスちゃんも好き。

 何度でもそう言える。


「私……リンちゃんや……ラピスちゃんみたいに……ありのままを……受け入れてくれる人……好き」

「そ、そうかいな……それは……お、おおきに……」


 ラピスちゃんは抱きしめる私を、優しく撫でてくれた。


「でも……ラピスちゃん……リンちゃんにしか……興味ない?」

「い、いやぁ……それは……」


 ふと、ラピスちゃんの顔を見ると、夕日のように真っ赤になっていた。


「興味ないなら……それでもいい……私……2人を……振り向かせる」

「そ、そうかいな……が、頑張ってな……」

「ラピスちゃんも……頑張ってね」


 私たちはそのまま……しばらく抱きしめ合った。


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