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現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた  作者: 立風館幻夢
第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!
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吸血鬼の過去 その9 ~お詫び~

「キセノンはんは、リンはんの事……どう思うとるんや?」


 ……え?


「リンちゃん……? なんで……リンちゃんの……名前が?」

「いや、ちょっと気になったんや、ウチと初対面の時とか、ダンジョン探索の時の行動とか……」

「……」


 も、もしかして……ラピスちゃんは……。


「違うなら違うでええんやけど……キセノンはん……リンはんの事……好きなんか?」

「……」


 そんな……私が、リンちゃんの事……。


「な……何……言ってるの?」

「いや、ちょっと気になっただけやねん、初対面の頃からずっと思ってたんや……変に目立とうとしたり、ウチにだけプレゼントを渡さなかったり」

「それが……どうしたの?」

「いや、ふと思ったんや、もしかしたら『好きな人を奪われたくないから、奪おうとしている奴を潰そうとしたんやないかな』って」

「そ……それは……」


 私は、何も言えなかった。

 ……当たっている、私は、ラピスちゃんにリンちゃんを奪われたくなくて……それで……あんな態度を……。

 しかも、そんな行動が原因で、ラピスちゃんは……死にそうに……。

 なんてお詫びををすればいいのかわからない……許してなんて言葉だけじゃ足りない……。

 私は……頭の中がぐちゃぐちゃになり、自分の服に手を掛けた。


「ちょ、ちょっと! 何しとんねん! や、やめーや……っていててて!!」


 ラピスちゃんは、私の行動を止めようと立ち上がろうとしたが、怪我のせいかそのままベッドに横たわった。

 私はそんな中でも、手を止めなかった。

 やがて、私の上半身は、なにも身に着けていない姿となった。


「ラピスちゃん……」


 私は服をベッドの上に放り投げ、ラピスちゃんの隣に横たわり、力を抜いた。


「な、なんや?」


 ラピスちゃんはゆっくりと起き上がり、上から私を見つめている。

 私には、覚悟ができていた。


「ラピスちゃん……好きにしていいよ」

「は、はぁ? な、何言うとんねん? す、好きにって……」

「今まで……酷いことした……お詫び」

「……」


 ラピスちゃんは、私の言葉に困惑したのか、その場で固まってしまった。

 私はその気にさせようと、言葉を続けた。


「躊躇……しなくていい……私なんか……ラピスちゃんの……玩具でいい……」

「キセノンはん……それ本気で言っとるんか?」

「うん……嘘じゃない……こんなんじゃ足りないのは……分かってる……でも……死ぬ以外で……詫びる方法……これしかない」

「……なんやねん、それ」

「いいから……好きにして……私は……どうなってもいい」

「……」


 私が弄ばれるのを待っていると……ラピスちゃんは、体を震わせながら、脱ぎ捨てた私の服を掴み、私に向かって投げた。


「……このアホ!!」


 ラピスちゃんは服を投げると同時にそう叫び、私を抱きしめた。

 私の額には……生暖かい水滴が通り過ぎていた。


「ラピス……ちゃん?」


 ラピスちゃんは……泣いていたのだ。


「そんなんでウチが喜ぶわけないやろが!! 何考えとんねん!!」

「……」

「ウチはただ仲間を守ることができてよかった、それだけでええねん!! 何自分の体差し出しとんねん!! そう簡単に売り渡すなや!!」

「え……私は……ただ……」

「ただも何もないわアホ!!」


 ラピスちゃんは……私の顔を思いっきりビンタし、再び抱きしめた。

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