吸血鬼の過去 その7 ~移送~
……その日は、他のパーティがダンジョンボスを退治したこともあって、最奥までたどり着き、ダンジョンを消すことには成功した。
私はラピスちゃんとリンちゃんの元へと急いだ……ラピスちゃんは、見るからに衰弱していた。
「……ラピスちゃん!」
……私の問いかけにラピスちゃんは反応しなかった。
「早く街まで運ばねぇと、そのサキュバスのガキ、死ぬぞ!」
ドワーフ……ゴルドちゃんは、ラピスちゃんを指差して、そんなことを叫んだ。
「ねぇ……貴方、誰?」
「ちょいと人に頼まれてお前らをつけてた者だ、今はそれよりもそいつを運べ」
「つ、つけてた? ノンノン、どういうこと?」
リンちゃんは困惑しているが、ゴルドちゃんの言う通り、今はとりあえず、ラピスちゃんを運ばないと……。
「私……運ぶ……責任……持つ……」
私はラピスちゃんの体を両手で抱え、羽で広げ、街へと急行した。
ラピスちゃん……死なないで……。
☆
……探索者ギルドに直結している診療所へラピスちゃんを運び、お医者さんに後を託した。
私は、診療所の外で、ラピスちゃんを待っていた。
待つと言っても、私は落ち着くことができず、入り口付近をうろうろしていた。
「……ノンノン!」
リンちゃんの声が聞こえ、私はそちらの方に振り向いた。
振り向いた先には、手を振るリンちゃんと、その後をゆっくりと追うゴルドちゃんがいた。
「ラピラピは!?」
「今……診療所……」
「そっか……」
リンちゃんは、悲しい表情で下を向いた。
私の……せいだ、満月のように明るいリンちゃんが、新月の夜空のように暗くなってしまっているのも……。
「おい、落ち込んだって、何も変わらねぇぞ」
ゴルドちゃんは、私たちに向かってそんなことを言ってきた。
「じゃあどうしろって言うの!? ラピラピが……このまま……治らなかったら……」
「そんなこと考えてどうするんだ、死ぬときは死ぬし、息を吹き返すときは吹き返す、この仕事やってたらそんなことザラだろうが」
「……ふざけないでよ、分かったように言わないでよ!!」
リンちゃんはいつもの明るい口調ではなく、人が変わったようにゴルドちゃんに激昂した。
私がリンちゃんを落ち着かせようと介入に向かったその時だった。
「ごめんなさいねぇ、この人口下手なもんで」
ある人間の女性が、間に入ってきた。
私たちはその顔に見覚えがあった……白髪が特徴の、熟した果実のようにシワだらけの女性……このギルドの受付をやっている女性だった。
「あ……どうも」
「こ、こんにちは」
私とリンちゃんは軽く会釈をし、挨拶をしたのだが……その女性を見たゴルドちゃんは膝をつき、頭を下げた。




