第117話 吸血鬼の様子
「ふぁー……おはよう、叔母さん」
「ハクハク……おはよう」
「琥珀はん、おはようございます」
朝起きて、居間に入るとゴルドと叔母さんが既に朝食の用意をしていた。
「あら、みんなおはよう……キセノンちゃんはどうしたんだい?」
「あぁ、結局部屋に戻ってこなかったよ、ずっと地下室にいるみたい……ふぁー……」
キセノンは部屋に戻ってくることはなく、まだ地下室にいるようだった。
……掃除でそこまで時間掛かるかな……まさか。
「……地下室で寝ちゃってるのかな?」
「いやいや、ノンノンに限ってそれはバリ有り得ないって」
「せやせや、多分まだ掃除の真っ只中やろ」
2人はキセノンに相当な信頼を寄せているようだ。
「まぁでも、飯が冷めちまうからな、呼んできてやった方がいいんじゃねぇか?」
「……だね、私、呼んでくるよ」
ゴルドの言い分はもっともだ、早く呼ばないと冷めてしまう。
冷めたご飯ほど不味いものはないからね。
「じゃ、アタシも!」
「ウチも行くで」
「じゃ、行こうか、叔母さんも来る?」
「まぁ、地下室がどうなったのか気になるかねぇ」
「じゃ、私も行きますよ! 琥珀さん」
全員、一緒に行くみたいだ。
……まぁ、みんなで行ったほうがいいか、仮にキセノンに何かあったら大変だし。
私たちは食事を置いて、地下室へと向かった。
☆
「キセノン! いる!?」
地下室の扉をノックし、キセノンを呼び掛けるも、答えが無い。
……やっぱり不安だ。
「行こう、みんな」
「そんなに心配しなくてもいいんじゃない?」
「いやいや、リン。貴方は心配しなさすぎよ……」
私と叔母さんが扉を開け、みんなで階段を下がっていく……と、階段を下る中、かすかに音が響いているのが分かった。
『我ら! ジョッカー! 電撃隊!』
……あれ? なんで特撮の音声が……? しかもこれ……昭和の……しかも初期のやつじゃない?
「なんや? この音、瑠璃はん、何かわかる?」
「うん……分かるよ、これは……」
……まさか。
とにかく、今はキセノンだ。
私たちは下まで降り、部屋の中を見た……
「キセノン! ……ってなにこれ!?」




