第113話 買い物の約束と帰宅
「……見て! あれが最奥だね!」
リンは私を抱えながら、前の方を指差した。
……どす黒い宝石、あれを壊せば元に戻るはず。
「よし! んじゃ、ワシとキセノンでぶっ壊してくるから待ってろ! 行くぞ!」
「……うん」
ゴルドとキセノンは魔石に向かって走り出した。
……はぁ、なんか色々疲れたな。
「ねぇねぇルリルリ! 外に出たらルリルリの服買おうよ!」
リンはおんぶの状態で私にそう言ってきた。
えぇ……この状況下で?
「2人とも体力凄いね、私はもう無理……もう若くないね、私も」
「そんな! ルリルリはまだまだ若い方だよ!」
「そりゃリン達と比べたらね……」
数百歳も違う人から見りゃ私は若いでしょうよ……。
人間視点だと私なんてあと数年で三十路を迎える人だよ……。
……と、そんな他愛のない会話をしていると、私たちの周りを光が覆った。
どうやらゴルドとキセノンが最奥の魔石を破壊したらしい。
「……あのさ、リン。服を買うのはとりあえず……ショッピングモールの人の安全が確認してからにしよう」
「……そうだね!」
私とリンが約束を照り付けると、光で周りが見えなくなってしまった。
☆
「はぁーあ! いや、今日はバリ色んなこと知れたね!」
……ショッピングモールの安全が確認でき、私たちは帰路へと着いた。
……連れでいない人がいないか確認したところ、全員いると答えていた……けれど、一人できた人とかで、ダンジョンで犠牲になった人がいるかもしれない。
……警察が行方不明者の確認を取ってくれるみたいだけど……大丈夫だろうか? 今はそれが心配だ。
「でも残念だなぁ、ルリルリの服選んであげようと思ったのに」
「いやいや、あんなことがあった後じゃあ仕方がないでしょ」
リンはどうしても私の服を選びたかったようだ。
あの後警察と自衛隊が来て、事件の調査をしに来た。
事情聴取とかされるかもしれないと考えた私は、咄嗟に皆を連れて敷地外へと出た。
取り調べ受けると……後々面倒そうだし。
「ま、明日は絶対に行こうね!」
「うん、楽しみにしてるね」
明日……ダンジョンに遭遇しないといいな。
「お腹……空いたな……ご飯……食べたい」
「せやなぁ、ウチもお腹ペコペコや」
キセノンとラピスは空腹状態らしい。
私も……色々あってお腹空いてきたな。
「じゃ、帰ったら叔母さんにごちそう作ってもらおうか」
「いいな! 琥珀さんの料理! ……こうしちゃいられねぇ! 早く帰ろうぜ!」
ゴルドはまるで子どものように走り始めた。
……って危ない!
「……ゴルド! 信号赤!」
「うぉ!? あぶねぇ!」
全く、油断も隙も無いな。
「もぉーゴル爺ったらハクハクに嫌われちゃうよ!」
「う、うるせぇ!」
「あはは、顔真っ赤やん」
「楽しみ……気持ち……分かる」
「ほらほら、青になったよ!」
……そんな会話を繰り広げつつ、私たちは歩き始めた。




