第92話 出かける準備
「瑠璃ちゃん、本当に大丈夫かい?」
叔母さんがまたも心配そうな声を上げる。
「体調でも悪いんじゃないのかい? 今日は寝ていた方が……」
「そ、そんなことないよ! 体調は万全! 元気一杯だよ!」
「本当かい? あんまり無理しないでおくれよ」
いけないいけない、叔母さんに心配かけさせたら、迷惑になっちゃう……ただでさえ5人も養っている状況なのに……。
落ち着こう……うん、たかが間接キスだ、昨夜のキスと比べたらこんな……昨夜の……。
「ルリルリ! ルリルリの分の食器も洗い終わったよー! 早く街に行こうよ!」
「あ、り、リン!?」
昨夜のことを考えていると、その当事者であるリンが急に抱き着いてきて、私は思わず大声をあげてしまった。
「……どうしたの? なんか顔がバリ真っ赤だけど」
「な、なんでもないよ! なんでもない!」
「……? 本当になんでもない?」
リンは依然と私を心配しているようだ。
今の状態でリンのそばに居たら、私恥ずかしくて頭が爆発しちゃうかも……お願いだから今は1人にさせてほしい!
……と、そんな思いが届くはずもなく、リンは……私に近づいてきた。
「え、ちょ、ちょっと……」
リンは……自身のおでこと私のおでこに触れさせてきた!
ちょちょちょっと! い、いきなり何!?
「うーん、熱は無いみたいだね……」
「り、リン! 大丈夫だって言ってるでしょ!」
「本当に?」
「本当に!」
「うーん、ならいいんだけど、体調バリ悪くなったらすぐに言ってね」
リンはそう言って、私の体から離れた。
「ほら瑠璃ちゃん。リンちゃんにも心配かけさせちゃって……本当に大丈夫かい?」
「だから大丈夫だって、叔母さん」
いけないけない、平常心平常心……。
「ほな、ウチらも食器洗い終わったでー」
「瑠璃、今日は案内してくれるんだろ? 早く行こうぜ」
「街……早く……行こう……」
3人は食器洗いを終え、居間に戻ってきた。
みんな、街に早く出たいようだし……気を取り直して早く行くか。
「じゃ、みんな準備して!」
「わーい! アタシバリ楽しみ!」
とりあえず……歯を磨くか。