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双界英雄伝説 〜二つの世界で一つの夢を見たい。〜  作者: 那莫姿エフエル
第一章 ”始動。『天津風』”
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休日の過ごし方。

先日までコロナに感染してました…

皆様もお気を付けくださいますように。

辛いです。苦しいです。マジで。


「フッ! ハッ! フッ!」


午前10時頃、双帰亭の中庭にて胴着姿の誡斗は素振りをしていた。


風月の森での依頼を終えた翌日である今日、遊撃隊「天津風」としての活動は休み、各々好きな時間を過ごしている。そのため運動も兼ねて誡斗は中庭にて一人素振りをしていた。

そこへカナタと雪菜が近づいて来た。


「よう!精が出るねぇ。」

「ん? あぁ、カナタと雪菜か。」

「お疲れ。誡斗君。」


二人に声を掛けられ素振りを中断する誡斗。三人はそのまま縁側に腰掛け雑談を始める。


「…で、あの時のワタル達スゲー有様だったよなー。」

「あぁ。あれは正直見ていて辛どかったな。」

「そう考えると昨日はまだマシなのかねぇ…」

「そう言う事言わないの! 二人もいつああなるか分からないんだよ。」

「いや、カイ兄やユキ姉なら、あぁはならないんじゃね?」


誡斗達が雑談をしているとそこに混ざるように声を掛ける少年の姿が。


紫の髪に青と赤の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)を持つ白い割烹着に身を包んだ少年。


彼こそが話題に上がっていた人物、紫空ワタルである。

真面目で几帳面な性格だが、熱が入るとなかなか抜けないところが玉にキズなのである。


「おぉ、噂をすればなんとやら。ワタルじゃねぇか。「お仕置き」は終わったのか?」

「だと良かったんだけどねぇ…」


そう言い溜め息を吐くワタル。昨日姉である叶芽と姉弟揃って「お仕置き」を受けたワタル。

始まったのが昨日にも関わらずまだ終わらないようだ。

割烹着を着ているのがその証拠である。




ここで出た「お仕置き」とは帰戸が決めた双帰亭でのルールを破った者に対する処罰方法の事である。


普段は優しい帰戸だがルールには結構厳しく、朝寝坊したり、部屋を散らかしっぱなしにしていたら余程のことが無い限り破った者には「お仕置き」を下すのだ。


ちなみにその「お仕置き」の内容は毎回変わるが基本的には… 


・廊下で正座(帰戸の気が済むまで。) 

・双帰亭外周マラソン10周〜ランダム(一周約1.5キロ) 

・ブロック積み上げ制限時間有り(お題は帰戸の気分次第。) 

・特別抜き打ちテスト(内容、範囲ともにランダム)


…などであり他にも気分次第で追加されたり内容が変わったりする。




「まだ終わらないのか。随分絞られてんなぁ。」

「夜更かしなんてするからだよ。ワタル君。」

「分かってるけどさぁ。どーしてもやっておきたい事があってねぇ、徹夜しちゃうんだよ。」

「叶芽も似たような感じかもな。考えることは同じってか。家族だねぇ。」

「まぁ内容は違っても、そんなトコかな。」

「おぉ〜い、ワタル〜! 戻ってこーい!」


そんな会話をしていたらどこかから女性の声がした。ワタルの姉、叶芽である。

姉に呼ばれ、ワタルは戻って行った。そして残った誡斗達は…


「…俺もそろそろ行くかな。二人はどうする?」

「私は付いてくよ。」

「俺はパス。今日は休んでる。」

「そうか。じゃあ雪菜、準備してくれ。」

「うん。」


誡斗はどこかに出掛けるようだ。雪菜はそれに付いて行き、カナタは双帰亭に残る様子。

かくして、誡斗と雪菜は自身の部屋に向かい出掛ける準備を始めた。




準備を終えた誡斗と雪菜。二人は動きやすい服装に身を包んでいる。

出掛けようとした二人を帰戸が見送りに来た。


「行先はいつもの集落かニャ?」

「まぁね。村長に聞きたいことがあって。」

「そう言う事ニャら気を付けて行って来るニャ。」

「はい。それじゃ行って来ます。」


帰戸に見送られ出発した二人。


10分も歩けばそこは大勢の人が行き交い、18世紀から19世紀の街並みを彷彿とさせる中心街にたどり着く。




- 要塞都市『十六夜』-

月土連邦首都『望月』より北西に位置し、隣接する大国、”風牙連邦”とを繋ぐ街道のほぼ中間に位置する為、月土連邦の五本の指に入る世界有数の繁華街でもある。

また”要塞”の名を冠する通り軍事的拠点としての機能も兼ね備えており、今でも稀に妖が侵攻して来たりする為、それを迎え撃ち続け今では連邦重要拠点の一つとなっている。




二人はそのまま中心街から出てすぐにある乗合霊力駆動車、いわゆるバスで通称「定期便」の停留所に向かい、車両に乗り込む。


霊力駆動車とは霊力を動力源とする車両のことであり、この世界では現実のバスのような役割を担うのが一般的であり、個人で所有しているのは上流階級の人間くらいなものなのである。


駆動車に揺られること約1時間、車両から降りた場所は「月影山(つきかげやま)」の麓。

標高1,000m程の比較的緩やかな山であり多くの登山客が訪れる観光名所だが二人がここに来た目的は山登りでは無い。二人は登山コースから外れ脇道に入る。





人がギリギリ通れるような道を進み、河に架けられた小さな橋を渡り、やがて辿り着いた険しい崖。

誡斗はその崖の前で白と黒に塗られた鈴を取り出し鳴らす。


チリーーン…チリーーーン…


鈴の音が風に乗った時、崖の一部が歪み掻き消え、そこに洞窟が現れた。

二人はその洞窟の中に足を踏み入れると洞窟の入り口は再び崖へと姿を変えた。




洞窟を進みやがて出口が見えた。洞窟を抜けたその先には、切り立った崖に囲まれた集落があった。

田園風景があり、茅葺き屋根や瓦葺きの家々が並ぶ集落は一昔前の街並みの様。

古き良き村に向かうと、門前で二人に気付いた村人の一人が笑顔でこちらに近付いて来た。


『よう! 誰が来たかと思えばカイ坊に雪嬢じゃねぇか! 久しぶりだなぁ!』

「おっちゃん。久しぶり。」

「お久しぶりです、おじさま。お元気でしたか?」

『おぅよ。皆元気にしてるぜ。今日は二人だけか?』

「まぁね。今日はオフの日だから皆好きにしてるのさ。」

『そうか。ま、とりあえず村長んとこ行くか。』


親しげに二人を迎えたのは甚兵衛に身を包んだ男性。ただし彼は人間ではない。

その顔は目が一つ、眉間辺りに大きな眼を持つ、文字通りの一ツ目だ。


誡斗達がここを訪れるのは初めてでは無いらしい。

二人と彼の三人は一緒に村の中心に向かい歩き出した。






読んで頂きありがとうございます!


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よろしければブックマークも押して、今後も物語にお付き合いいただければ幸いです。


至らぬ点もありますでしょうが、出来る限り皆様のご期待に応えられる様、精進させて頂きますのでどうかよろしくお願いします!


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