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双界英雄伝説 〜二つの世界で一つの夢を見たい。〜  作者: 那莫姿エフエル
第一章 ”始動。『天津風』”
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戦闘開始!

今日は連続投稿しますね。

『シギャギャギャアァーー!!』

「うわぁぁぁぁぁ!!」


誡斗達が駆けつけて来た時には20体程の体調約2mの虫型妖が梨の木に齧り付いたり農家達を威嚇していた。

怪我人は見当たらず農家達は皆逃げ惑うばかり。だが農家達に向かう妖もいる。


「コイツはヤバイ! カナタは風華と、雪菜は俺とのペアで行く!いいか! 誰一人死なすなよ!」

『了解!』


口早に指示を出し、誡斗達は妖に突っ込む。

こうして誡斗達4人と虫型妖、約20体との戦闘が始まった。




「セリャァァァァッ!!」

「でりゃぁぁぁぁっ!!」


ダダッ! ズババァンッ!!


『シギャアァァッ!!』


カナタと風華は妖に向かい突撃するや否や、腰に穿いていた刀ですれ違い様に斬り捨てた。


「風華、バックアップ頼む。」

「了解だよ!」


小声で声を掛け合い二人は距離を取る。カナタはそのまま地面に何かを仕込みながら移動する。

一方風華は別の妖に刀を向ける。ただし今風華は刀と脚に、渦巻く風を纏わせている。


「居合”松風”!」


ダンッ! ズバァ!!


『シギャァァ!?』


刀に風を纏わせ、相手に向かい目にも留まらぬ速さで踏み込み、一刀のもと切り捨てる技、居合(いあい)松風(まつかぜ)


『シ…ギャギャ…』


斬り捨てられた妖は辛うじて生きているが受けたダメージはかなりのものらしく呻くばかりである。


「さて、次は…ふぇ?」


次の妖へと視線を向けた途端、風華の周囲が少し暗くなった。何かと思った瞬間…


『シギャアァーーッ!!』

「しまっ! 後ろッ」


風華の後ろに回り込んでいた妖がかぎ爪状の2本の右腕を振り下ろそうとしていた。避ける間もなくその爪が振り下ろされ風華が目を瞑った瞬間…


フッ…


『シギャ?』

「あれっ?」

「全く、手のかかる妹だぜ。」


風華は離れたところに一瞬にして移動していた。何が起きたと思う前に…


「瞬剣”煌ノ鳥”!」


ザンッ!!


『シギャアァッ!?』


カナタが妖を斬り伏せていた。

一定範囲内の任意の地点にある自身が定めたポイントと対象を跳ばし攻撃や補助を行う、カナタの十八番技、瞬剣(しゅんけん)煌ノ鳥(こうのとり)


つまり今カナタは危険が迫った風華を先程設置したポイントへと移動させ、風華を逃したのだ。

そして風華の元へ跳ぶと背を合わせ声を掛ける。


「ったく、突っ込む時は周り見ろって。」

「ハイ、スミマセンでした。」

「ん、よろしい。じゃ次いくぞ。」


言い終わった瞬間カナタは別の場所へ跳んでいた。風華は頬を叩いて気合を入れると、周囲の妖に刀を振りかざした。



*****



「フッ! ハッ! そぅりゃっ!!」

「ハァッ! ソリャッ!」

『シギャアァッ!』 『シギャギャァァ!』


一方その頃、誡斗と雪菜は別の場所で戦っていた。


「凍てつけッ!”封呪凍土”」


パキパキパキパキッ!


雪菜が右手に霊力を集め、妖達の足元へ向け放つ。すると妖達の足元から体にかけて見る見るうちに凍りつき動きを封じた。

相手の足元を凍らせ動きを封じる技”封呪凍土(ふうじゅとうど)


「剣戟”疾雷”!」


ズバァッ!! バチバチバチバチッ!!


『シギャアアァァ!!』


凍りつき動けなくなった妖達に向かい蒼白い雷を纏わせた刀を振るう誡斗。斬り付けると同時に相手に雷属性のダメージを与える剣戟(けんげき)疾雷(しつらい)


『シギャ…ギャァ…』

「お疲れ様、誡斗君。」

「あぁ、雪菜もフォローありがとな。これでこっちは片付い…」


死んではいないが文字通り虫の息になっている妖達を見て、キリトはこちら側は片付いたと判断しかけたその時…


「キャァァァッ!!」

「ッ!? 今の声は!?」

「キリト君! あそこ!」


突然、悲鳴が聞こえ、何事かと思えば雪菜の視線の先、約20m離れた場所で一人の少女が今までより2回り大きい虫型妖に襲われていた。


『シギャアァァ!!』

「ヒッ…イヤァァァァッ!!」


妖が少女に向かってかぎ爪状の右腕を振り下ろした瞬間…


ガギィィィィンッ!!


『シギャ!?』

「…え?」

キ「ふぅ、間一髪…!どりゃっ!!」


ドカァ!


『シギャッ!』


瞬間的に動いた誡斗が刀でかぎ爪を弾き、霊力で身体強化を施し怯んだ自分より大きい妖を10m程蹴り飛ばした。


一瞬の出来事に目を白黒させる少女に向かい誡斗は微笑んだ。


「もう大丈夫だ。君はオレ達が守るから。」

「あ…えと…ありがとうございます。」

「雪菜、この子を頼む。」

「うん。任せて。」


少し遅れて来た雪菜に少女を任せ、誡斗は蹴り飛ばした妖に向かう。




『シギャァ…ニンゲン…!」

「へぇ、喋れるのか。」


蹴り飛ばされた妖は誡斗を睨み言葉を発した。

妖は基本喋れない。ある程度強い個体のみ言葉を使うことができ、人間と同じようなことができる個体はそれだけで脅威とされる。


『ニンゲン、コロス! ソレガ、[教エ]!』

「教え? そいつはどういう…」

『シギャアァァ!!』


妖が”人間を殺すことが教え”という謎の言葉を発したが、それが何なのか問う前に妖は襲い掛かる。


「おっと。話す気は無いってか!」


誡斗は妖の攻撃を躱しながら反撃するも妖は4本のかぎ爪で誡斗の刀を弾く。


「悪いが…こっちも負けてらんねぇんだ!」


互いに一歩も譲らない攻防を続けるが誡斗は身体強化を施し速度を上げた。速度が上がった誡斗の動きについていけず妖は次第にダメージを受けていく。


キンッ! キキンッ! ザシュッ!


「せりゃっ! ハッ!」

『グゥ… コシャクナ!」


妖は今まで以上にかぎ爪を振り回すが、誡斗には当たらない。

誡斗も攻撃を繰り返すがかぎ爪に阻まれ、一進一退の攻防が続いた。



「剣戟”疾雷”!」


ギャリィィィィン!!


『ヌオォッ!?』


そして、一瞬の隙を突き[剣戟”疾雷”]で妖の4本の腕を大きく弾いた。爪を弾かれ怯んだ妖に向かい誡斗は刀を向ける。


「剣戟”銀霊華”!」


ズバババババババッ!!


『シギャアアァァ!!』




目にも留まらぬ速さで7回斬り付ける剣戟(けんげき)銀霊華(ぎんれいか)


7連続の剣戟を受け妖は倒れる。


『オ…ノレ…ニンゲン…』



文字通り虫の息となった妖に誡斗は問う。



「お前のその教えってのは、どういう意味だ?」

『…シギャ…ニンゲンヲ…コロス。ソレガ、アノ方々ノ、キョウダンノ…教エ。」

「教団ね。なるほど…」


おそらく妖の間に広まっている宗教の教えがそうなっているのだろう。即ちこの妖以上の存在がそのようなものを創り、思想を広めているということだ。

そしてそれはすぐ近くまで近付いている。


『ググ…ナニ…モノダ? キサマハ、キサマラハ… 』


名を問う妖に対し、誡斗は答える。


「俺か? 俺の名は白波 誡斗。そして、オレ達は遊撃隊『天津風(あまつかぜ)』だ。」


それを聴き終えると同時に妖は光の粒子となって消滅した。

これが妖の死。肉体は残らずに消滅するのである。それを確認すると、誡斗は周囲の虫型妖に向かい叫ぶ。


「お前たちの頭目は倒した!取り敢えずこれ以上ここを荒らす事、誰かを傷付ける事は許さん!速やかにここから去れ。…ついでにお前たちの親玉にも、二度と来るなって伝えてくれると嬉しいがね。」


そして虫型妖は傷ついた体に鞭打つように逃走を始めた。やがて果樹園を襲った妖は全て去って行った。

それを見送る誡斗の目は何処か切なげだった。




読んで頂きありがとうございます!


「面白い」「続きが読みたい」と少しでも思って頂けたら広告下の

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よろしければブックマークも押して、今後も物語にお付き合いいただければ幸いです。


至らぬ点もありますでしょうが、出来る限り皆様のご期待に応えられる様、精進させて頂きますのでどうかよろしくお願いします!



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