プロローグ2 双界神話
世界観設定的な。
読み飛ばしても大丈夫です。
物語前半までは…
− かつて、如何なる物質も存在しない虚無の空間があった。
その空間に二柱の神が現れた。−
− その神の名は、片や『創造神 イザナミ』 片や『破壊神 イザナギ』 −
− 二柱の神はこの空間に幾つかの存在を生み出した。 −
− それは『大地』となった。それは『海』となった。それは『空』となった。 −
− それは『世界』になった。−
− 世界が生まれた後、二人の神は新たに自らの分身を、この世界の神を産み出した。 −
- 最初に産まれし神の名は『陰陽神 アマテラス』 −
− アマテラスはこの世界を二つに分かち、光と闇を生み出した。
そして、光と闇が交互に入れ替わるように動かした。 −
− 二つに分かれ、光と闇が入れ替わる世界を、アマテラスは『双界』と称した。 −
− 光と闇が動くことにより双界に『時』という秩序が誕生した。
時は動き続けやがて大地に、海に、神とは異なる存在、命を持つ生命体が誕生した。 −
− 次いで産まれし神の名は『界神 ツクヨミ』 −
− ツクヨミは片方の双界に生きる生命体に『可能性』を与えた。 −
− 可能性とは変化、環境に合わせ自らの姿形を変える、即ち『進化』である。
進化の可能性を得た生命体は次々と自らを環境へと適応させていった。 −
− そのような中、不思議な生命体が現れた。
それらは自らを、他を、自然を、物を、『学習』『理解』して行った。
やがてそれらは世界で限りなく『神に近い存在』となった。 −
− そして自らを『人間』と称した。 −
− 最後に産まれし神の名は『界神 スサノオ』 −
− スサノオはもう片方の双界に生きる生命体にツクヨミとは違う『可能性』を与えた。
その違いとは進化の可能性ではなく『心の具現化』という可能性である。−
− 即ち、生きとし生けるものが持つ心が強く思い描いた事象、心が感じた喜び、希望、恐怖といった感情が具現化し、自らの心と肉体を得てこの世に産まれ、真なる命となった。 −
− 人でも動物でも無く、それらとは異なり似ている生態を持つ存在に。
やがてその新たな命は双界の至る所に、それこそ動物と同じ様に生き始めた。
そして自らを『妖』と称した。 −
- 人は知恵を身につけ自らの手で狩りを行い、作物を作り、家族を養い、集落を発展させ繁栄した。
やがて自らの生きる双界を『人間界』と称した。
一方、妖は力に溢れ、自然の中で生きる者、人と同じ様に生きる者とそれぞれの生き方を歩んだ。
やがて自らの生きる双界を『妖魔界』と称した。 -
- 知恵を持ち繁栄した人と、力を得て繁栄した妖、二つの種族は双界と種族の垣根を超えて、共に支え合い平和に暮らしていた。 -
− 『双つで一つ。一つで二つ。』 −
- 神は、人は、妖は、この関係を口々にそう語った。 -
- ツクヨミは人と、スサノオは妖と共に生き、二つの種族は二柱の神と共に生きる。
こうして双界は発展していった。 -
- しかし、ある時一つの事件が起こる。
小さな集落から始まった一つの小競り合い。それは徐々に広がりやがて人と妖、人間界と妖魔界、全てを二つに分かつ争いへと変貌した。 −
− 今まで平和に暮らし共存していたはずなのに互いに怒り、憎み、争い合う。
ツクヨミもスサノオも当初は対話による解決を目指した。だが争いは激しさを増していきもはや戦う他無かった。
己が支え、守ってきた者達のため、二柱の神はそれぞれの立場で戦う決意を固めた。 -
- この人と妖、二つの種族と双界を巻き込んだ戦いを《双界大戦》と呼ぶ。 -
- 神をも巻き込んだ大戦により双界は荒廃し、多くの命が失われた。
長い戦いの末、ツクヨミがスサノオを討ち倒し大戦は人間側の勝利に終わった。
残された妖達は妖魔界へ逃げる者、人間界に隠れ生きる者に分かれた。 −
人は勝利を喜んだがツクヨミは大戦の後、忽然と姿を消した。
やがて人は神に、ツクヨミに支えられること無く生きる道を歩んだ。
そして…