また負けた。
50回目の敗北から始まる奇妙な物語。
まずは自己紹介と軽い世界観を説明しようじゃないか。
俺の名前はガリキア。
ガリキア=ラストレスが名前だが、そこは重要では無いだろうからある程度省略…あれ?省略しちゃ駄目ですかね?
あ、分かりました。
と言っても、クーガ村と言う片田舎の出身と言うだけで、特に村長でも無ければ貴族でも無い。
ただ、生まれつき変わったスキルを持ってるだけだ。
え?
だったらいせかいてんせい?じゃないのかって?
そもそも、いせかいってなに?
…まあいいや。
とにかく、マウリシア大陸の端っこの村とでも思ってくれ。
もちろん貴族はいるし、魔物も魔王もいる。
なんならエルフにドワーフはもちろん、さらには獣人、鬼族、竜人族に妖精だっている。
そういえば、俺達人間は数種類いるのが普通みたいだ。
とは言っても、生まれた時にみんな何らかの職業が神によって与えられるらしい。
それと同時にスキルも与えられる。
俺のスキルは、〝選択蘇生及び転生〝と〝経験値引き継ぎ〝である。
…ちょっと何言ってるか分からないだろうが、すでに与えられた情報を開示しようじゃないか。
まず、〝選択蘇生及び転生〝だが…この世界で何度死んでも俺が蘇生したい時期や、転生したい種族を選べるのだ。
例えば蘇生だが、死んだ種族等のまま…例えば人間の貴族で子爵なら、貴族で子爵のまま死ぬ前のどの時期かを選べる。
次に転生だが、村人から貴族…果ては他の種族に転生出来る。
経験値引き継ぎだが、そもそも俺は勇者で固定されているらしく、レベルや経験値をそのままで蘇生もしくは転生出来るようだ。
ちなみにだが、俺の仲間はいちいちリセットされているのだ。
くっ…それだけが問題か…。
そもそも俺の仲間は今回で50回変わっている。
なんでだ?わからん。
あ、この世界の話しだったな。
この世界の住民は、全員がステータスの恩恵が与えられる。
そこいらを走り回る幼女だろうが、屈強な騎士だろうが、果ては老人ですらだ。
なんなら赤ん坊にすらステータスの恩恵がある。
ただ、スキルやその他のジョブと言われるのは別になる。
…この辺りはまた今度でもいいか。
とにかく、この世界にも魔王はいるのだ。
昔の文献によると、魔王と勇者は必ず生まれるものらしい。
どちらかが倒れれば基本それで終わりだ。
勇者が勝てば多少魔物は出てくるものの、ある程度平和になる。
ただし、魔王が勝てば魔物が跋扈する世界になる可能性がある。
そうなると、人類は目も当てられない事になりかねない。
…と言うのが普通だろう。
俺の敵対している魔王なら、そんなことは無いと断言出来る。
何故かはさておき、それでも魔王は勇者である俺が倒さなければならない。
そして、50回目の敗北が決まった。