可愛くて強い魔獣
「レグルスさあ、魔術レベル何?」
―――魔術レベルとは、その名の通り、扱える魔術のレベルに応じて上がるステータスのことだ。ちなみに平均は5、凄い人で10、僕は100だ。
「あー、何だったかな。1000から先は忘れたー」
はい出ました人外っぷり。前にも言ったように、僕は上の上くらい強いのだ。それの10倍以上の魔術レベルとか、もはや頭おかしいのではないのか。ちなみに僕が使える最大魔術は天候に干渉する魔術だ。念の為どれほど凄いのか説明しておくと、普通の人で四大元素を操れる人はまず居ない。魔術は家系が大きく響き、その家系ごとに素質や得意とする種類が異なる。そもそも、魔術を扱うことが出来る者の方が少ない。100人いたら20人くらいだろうか。
よくある魔術としては……と。長く話しすぎたかな。とりあえず今の段階では魔術と、魔法の違いを説明しよう。魔術は術式を詠唱及び編み、それに自らの魔力を乗せることで発動する。魔法とは、自らの魔力を解き放ち、それが自然界にどう影響を及ぼすかで決まる。つまり、自分の意図した力を使えないのが魔法である。
話を戻すと、魔法が使えるのは100人中60人だ。残りの20人には残念ながら素質がない。こればかりは家系に左右されるから可哀想なものだ。もっとも、僕やレグルスは平民から生まれた魔法使いという特殊な例だが。
平民から生まれた魔法使いは常人ならざる魔力を持つ。その力は両親が魔法使いである子供を凌ぐ程だ。
――話が長くなってしまったが、これは今後に関わるので覚えておいて欲しい。
「レグルス、アークは元気?」
「アークトゥルス?…んー、最近みてないなー」
アークとは、僕の友達だ。本名を《アークトゥルス・エリス》という。やはり、僕よりも強い。
アークの場合は魔力よりも体力がすごい。これだけ見ると、筋肉質な人を連想するだろう。しかし、とても細身なのだ。僕よりも細かったかな…。そしてこの話をするという事は勘のいい読者の皆様はお気づきだろう。次はアークの話だ。
「あ。…アークトゥルスだー。タイミングいいねー。」
(ごめん、そういう設定なんだわ…)
「あ、あはは…そうだね……」
因みにだが、目視したのではない。気配を察知したのだ。こちらが分かったということはあちらも分かっただろう。案の定、アークが近づいてくる気配が……いや、アークだけじゃない。これは…
「アークトゥルス、まだあのカメレオン飼ってたのかー。」
その言葉と同時にアークのペット兼パートナーであるミササビカメレオンのベアトリクスが僕とレグルスに飛びついて…否、覆いかぶさってきた。
体長17m、重さ2t。
「こら、ベティ、ダメだろ!悪ぃな、久しぶりの再会でこんなことになっちまってよ…」
「「絶対悪いと思ってないだろ」」
「アーク…悪いって思ってるとかそういう話よりも、もはや頭おかしいんじゃない?」
僕はそう言って、ベアトリクスちゃんをぶん投げる。たとえ僕の力でぶん投げても大丈夫なのは、普段からアークにぶん投げられている証拠だ。…そもそも、僕の力に耐えれる魔獣もいるわけがないのだが、ましてやアークを凌ぐとなると…いよいよ僕の存在価値がわからない。僕は強いはずだ。いや、強いんだ。僕の周りが異常なだけだ。僕は強い。
…おっと。今、新しい重要単語が出たね。魔獣というのはその名の通り、魔力を持つ、獣とは異なる存在だ。通常の獣は魔力を持たず、力もあまりない。主に食用だったり、観賞用、労力として用いる。一方、魔獣は前述の通り、魔力を持つ。否、魔力と言っては語弊があるかもしれない。魔力を発生させる根源である、魔力の泉と、魔力を体外に放出してする、ゲートを持っているのが魔獣である。なぜ、このような回りくどい言い方をしたのかというと、
魔力の泉とゲートを持っていても、どちらかあるいは双方が壊れていて、魔力を扱えない魔獣もいるのだ。そう言った魔獣は、欠陥魔獣と呼ばれる。しかし、欠陥魔獣には、とんでもない利点がある。魔力を放出できない代わりに溜め込むため、保有魔力がとてつもなく高いのだ。だから、魔法使いは欠陥魔獣を加工して媒体とし、魔術を扱う。
ちなみに僕や僕の友達は媒体を使わなくとも易々と魔術を扱える(ボソッ)
「……ぃ、おーいってば!」
「大丈夫かー」
そう言って僕の顔を覗き込んできたのは、アークとレグルスだ。
「ああ、悪い、ちょっと考え事してた。」
「知ってるぞ」
「知ってるー」
ああ…こいつらは…また…人の頭の中を勝手に読みやがったな…いや、意識しなくても流れ込んでくるんだろうけど!はいはい、僕の存在価値!…まあ、そんな僻みは置いておいて…
「アーク、ベアトリクスちゃんのステータス今どんな感じ?」
「んー?変わってないぞー?」
「わかった」
ステータスがカンストしたままなんですね。はい。カンストってなんだろう。ステータスはとっくにMAXなのに日々強くなってるんだよねこのベアトリクスちゃん。あれ、僕の勘違いかな、きっとそうだよ。勘違いであれ。…本当に僕の存在価値どうなってるんだ…。