#06 ステータス
属性や魔法を設定してみて思ったけれど、よりRPG的な要素が増してきたのでどうせならステータスを実装してみたいところである。
拡張現実を使ってステータス画面を空中に投影させるのも容易なので、あとは必要な項目を設定するだけである。
そこでナノマシンの制御関連でそれっぽい項目をステータスとして違和感のない単語に置き換えて6つ程どうにか捻出した。
用意した項目は、筋力・耐久・敏捷・技巧・魔力・抵抗の6つ。
それぞれの項目に関しては──
【筋力】は肉体を構成するナノマシンの動力性能。
【耐久】はナノマシンの結合を保持する強度。
【敏捷】はナノマシンに指示を出した際の反映速度。
【技巧】は拡張現実やナノマシン制御の精密さ。
【魔力】は体外のナノマシンに対する干渉力。
【抵抗】は肉体を構成するナノマシンに対する外部からの干渉阻害。
といったところ。
あとはこれらを数値化するかランク付けするかだけれど、下手に数値化するとステータスの管理が面倒になりそうだったので★の数でランクを表すことにした。
ただそれだとかなり大雑把なのでもう少し細かく差別化するためにレベルを設けた。
それから試行錯誤を繰り返して最終的に各項目の★の最大数は7までにして、初期値は各項目★1つずつとランダムに振り分けられる★を4つとした。
また一定のレベル上昇に伴って★を得られるように調整していった結果、最大レベルを256としてレベル8毎に任意に振り分けられる★を1つ付与されるようにした。
★の数だけだとレベルの存在価値が薄くなってしまうので、レベルの数値1につき4%のステータスボーナスを加える。
1つの項目に関して最低値と最大値の差が約69倍程度になってしまうけれど、他の項目との兼ね合いや別の追加要素によってもうちょっと落ち着いた数値になる……はず。
雑にだけれどひとまずは形になったので、試しに私のステータス画面を表示させる。
【名 称】スライム
【レベル】1
【属 性】木
【筋 力】★☆☆☆☆☆☆
【耐 久】★☆☆☆☆☆☆
【敏 捷】★★☆☆☆☆☆
【技 巧】★★★☆☆☆☆
【魔 力】★☆☆☆☆☆☆
【抵 抗】★★☆☆☆☆☆
ステータスを構築したばかりでどことなく物足りないものもあるけれど、今はこれでよしとしよう。
私のステータスは完全に初期値だけれどナノマシンの管理権限を持っていたりと表示されていない要素としてやれることは多々あるけれど、その辺りは才能や技能などを実装して今後補うことにする。
ただ私の場合は傍観者で在りたいので戦闘する気はなく、誰かに討伐されたりしてレベル上げに貢献するようなステータスにするつもりはない。
なので私のステータスに関してはこのまま固定で問題なかったのだけど、他の生物に関してはレベル上げに必要な経験値などをどうするか悩みどころだった。
低レベルの相手を乱獲されても困るので、一時的に同レベルの相手から得られる経験値を次のレベルに上がるのに必要な経験値の20%ととして、相手とのレベル差1毎に4%増減させることにした。
高レベルになれば経験値を得られる生物もなかなか見つからないだろうからある程度で成長は止まるのは確実だろう。
その辺りを救済する措置として取得経験値n倍などといった才能なり技能なり用意するつもりである。
特異な能力を持った者の存在は、様々な物語を生み出してくれるだろうからね。
ただ力を手にした者がそれを誇示するために人間を殺戮されると私の目的である物語の観測に支障をきたしてしまうので、同族を殺傷した場合、新たに設定した宿業値を付与して優先的に魔法生物の攻撃対象になるようにした。
因果応報も物語を構成する要素となってくれるのでね。
寿命を削ることも考えたけれど、それは余りにもつまらないので却下した。
それならとひとつの考えが浮かぶ。
大量に稼いだ宿業値を何も今世で精算させる必要なない。
【星幽領域】での生涯を終えて、こちらに転生した際にデメリットのある才能を付与すればいい。
ただそれだと出生後すぐにステータスを確認されて殺処分される可能性が少なからずある。
それを回避させるために他者のステータスは『鑑定』などといった特定の技能所持者にしか閲覧出来ない措置を取る。
それでも完全には回避しきれないだろうから一定の年齢に達するまでは隠しステータスとして伏せておき、設定した年齢に達した際に才能が開花したように偽装させることにした。
世間的に好ましくない才能開花後に偏見や迫害を受けるのは避けられないだろう。
そういった状況に立たされたとき、前世で宿業値を稼いだ人格情報がどういった立ち回りをするのか今から楽しみでならなかった。