#10 エピローグ→プロローグ
あとはもう人格情報を格納する人格容器を各居住区画に用意するばかりといった段階まで作業を進めながら【星幽領域】内の映像を空中投影させ、第1世代として転生させる人材の選別を並行して行う。
一生涯で挨拶を交わすくらいの間柄になる人数は大体数千人程度といったところなので各居住区画に第1世代として配置する人格容器の数は1000体とする。
本当ならもう少し多く配置したいところだけれど人格情報の数が圧倒的に足りないのである。
簡易措置として惑星開発を行っていた間は【星幽領域】内の時間経過速度を速めていたけれど効果の程は微々たるものだった。
居住区画に家畜を放牧し、予め用意しておいた田畑に農作物を現出させる。
住宅が立ち並ぶ区域には放し飼いにしても問題なさそうなねこなどの愛玩動物を闊歩させ、周辺の未開拓区域には環境に即した野生生物を住まわせた。
私はスライムの身体をぽよぽよと跳ねさせ、各居住区画を散策し、間近で不具合がないかを直接調べて回った。
特にこれといった問題もなかったので人格容器を適当な屋内に配置していく。
第1世代の才能はどうしようかと考えたが、その辺りは『成長』の才能が変化する際と同じ処理でそれぞれの人格情報に付与していくことにした。
才能に関しては複数持たせたり、後天的に開花するのは『成長』以外にほぼないので追加の処置は必要ない。
あとは後天的にしか取得出来ない技能に関してだけれど、こちらは【星幽領域】から技術的・学術的なものと類似した知識や能力を運用出来る習熟度に達した段階で付与されるものとした。
また魔法関連のような特殊なものは世界樹が惑星全土から情報を取得して技能の新規作成などを行う。
その情報の取得先には魔法生物も含めた。
あとの細かな設定は惑星に人格情報を転生させてから各居住区画を運用しながら調整していくことにして現行の作業を終了させる。
同時に転生者リストアップのために閲覧していた【星幽領域】の内部経過時間が作成時からまもなく20年が経過しようとしていた。
これ以上【星幽領域】の文明レベルを上げる必要もないだろうと判断し、経過時間が20年に達した時点で各人格情報同士の関係性をある程度維持したまま文明レベルを20年巻き戻すことにした。
それに合わせてリストアップした人格情報をなるべく【星幽領域】で近しい者達を同一居住区画の人格容器に転生させる手筈を整える。
やがてそのときが訪れ、私は文明レベルのリセットと同時に7000の人格情報を各居住区画へと転生させた。
これで物語の舞台は整った。
惑星ひとつを丸々使った物質世界を舞台にした娯楽を特等席で享受すべく、私は透明化させた手乗りサイズのスライムの身体を跳ねさせた。
さぁ、物語の観測をはじめようか。




