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飲み会の後で・おまけ <清美>

『飲み会の後で』で書く予定だったエピソード、短いおまけ話です。


※話の流れで其処まで辿り着けなかったので、やむなく落とした部分をおまけとして追加します。

「ところで何のチラシを見てたの?」


 改めてソファの晶の隣に腰を下ろした俺は、彼女の手元にあったチラシ数枚に目を落とした。


「ランドセルだよ」

「え!」


 ランドセル?まだ春なのに?


「もう?早くない?」

「遅いくらいなんだって、今は。早い子は4歳の時に買っちゃうんだって」

「そうなんだ……」


 俺は目の前のチラシを手にする。お、これは俺の子供の頃からあるメーカーだな。いまだにCMを目にする事がある。なになに……んんん?


「たっか……!6万円?!」


 思わず叫んでしまった。驚愕する俺の隣で晶は相変わらず眉一つ動かさず平常心だ。もう1枚チラシを取り出して俺に大手家具メーカーブランドのランドセルの値段を示した。


「あ、でも合皮の1万円台のも人気なんだよ。確かにこの人気ブランドの物は高いので10万円台もあるけど……ネットで調べたらこっちはもう売り切れみたい」

「そうなんだ……なんかスゲーな」

「ね、吃驚するよね?でも自分の時の事ってあんまり記憶にないなぁ。今思うと、親は大変だったんだってよく分かるね」


 大人になって初めて気が付く事ってたくさんある。親になって初めて抱く不安も。

 そんな事ちっとも気が付きもしないで、俺は自分の事で精一杯だった。

 そうして俺達が出会ったばかりの、自分の事で精一杯の小学生の頃に自然と気持ちがリンクする。あの頃出合った晶は、幼かった俺から見てずっと大人に見えた。背だってチビだった俺よりずっと高かったし。あれ?何故か記憶に晶のランドセル姿が存在しない。でも俺と姉弟になった頃の晶はまだギリギリ小学生だった筈だ。……つーか、俺自身もこの家からランドセルで通学した記憶が……無いな?


「けど俺、札幌来てから1回も使って無いかも」

「小4くらいからリュックになるよね。でも大学の友達に聞いたら、地域によっては6年間使ってる所もあるんだって」

「へー。じゃあ俺も東京に居たらずっとランドセルだったのかな?」

「清美の場合は無理だったんじゃない?サイズ的に。小6にはかなり大きかったもんね。どっちみち背負えなかったと思う……」

「あーかもね!」


 どちらともなく思わず笑ってしまう。




「本当に……大きくなったねぇ」




 すると晶が『ねーちゃん』の目をして、ニッコリと笑った。


 ズクン!と心臓が苦しくなる。


 なのに俺の頭を冗談めかしてヨシヨシと撫でて来るから―――溜まらなくなってしまい、グイっと彼女を引っ張り上げ、問答無用で寝室へ連れ込んだ。


 姉っぽく接されて、そんな仕草に欲情するなんて。

 ……俺って結構な変態、なのかもしれない。

 こりゃあ高坂先輩の事アレコレ言えないな、と自嘲気味に思ったけれども。


 この俺の残念な嗜好については、決してあのイケメンには一言も漏らしてはならない。弄られるのは目に見えているから。

お読みいただき、有難うございました!

結局、清美は残念、と言ういつも通りのオチに纏まりました(^^;)


※もう一話くらい追加するかもしれないので『連載中』表示とします。

 (…が、手を付けられなくなった場合はこっそり『完結』表示に戻します。)

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